Airbnb日本代表が語る、プラットフォーマーの責任論
2016/3/18
特集第2部では民泊(ホームシェアリング)を取り上げる。最初に登場するのは、世界最大の民泊プラットフォームを手がけるAirbnb(エアビーアンドビー)日本代表の田邉泰之氏。安全性の担保、近隣住民の迷惑問題、法的責任の所在、競合の出現といった諸問題に対し、何を語ったのか。
旅館業界もとめられないと発言
ライドシェアと異なり、民泊(ホームシェアリング)はすでに、推進派と反対派の論戦に決着がついていると見て取れる。
2016年3月15日の報道によれば、旅館業法を管轄する厚生労働省と国土交通省は、旅館業法の規制を緩和し、家主が住みながら部屋を貸す場合に限り、将来的に「届出制」を認める方針を検討している。現行の旅館業法は「許可制」を取っており、さらに制度を緩めた格好だ。
一方で国家戦略特区諮問会議によって「特区」と指定された東京都大田区では、民泊事業者の申請がスタートした。今後は大田区の実施状況を見極め、しかるべきルールの修正を施したうえで、全国的な解禁につながっていくと見られる。
これに対し、従来は民泊に徹底抗戦の構えを示していた全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)の北原茂樹会長も「民泊の流れはとめることができない。これからは条件闘争に入る予定だ」と発言。新たなルールの中で、旅館業界のビジネスの保護を訴える姿勢を示している。
その背景には、都市部における深刻なホテル不足がある。観光庁の発表によれば、2015年の年間宿泊数は前年比6.7%増の延べ5億545万泊で、過去最高を記録した。宿泊の埋まり具合を示す客室稼働率も、東京と大阪で8割を超え、予約が困難になっている。国内全体では、ホテル料金が平均で12%上昇したとの報道もあった。
つまり、現実の課題を解決するものとして民泊は期待され、議論の進展を後押ししている。一方で現状は、各規制を無視した「野放し状態」のため、ルールを明確化する動きが加速化している。
とはいえ、安全性や衛生面を中心に、懸念の声が上がっているのは周知の通りである。こうした状況を、世界最大の民泊プラットフォーム、Airbnbはどう考えているのか。日本代表の田邉康之氏に話を聞いた。
近隣住民の迷惑問題を認識
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この連載について
「フィンテック」「ヘルステック」「エドテック」など、今、テクノロジーの力を使って規制産業を変え、新たなビジネスチャンスを生み出す動きが活発化している。各業界の規制が既得権をもたらし、それゆえ国際競争に遅れをとっているとも言われるなか、果たしてテクノロジーは業界の未来を変えるのか。新興プレーヤーやそれを迎え撃つエスタブリッシュ企業、規制に精通する学識者への取材を通じて、規制産業の行く先を考える。
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