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ついにVRの時代がやってきたのか

仮想現実(VR)が実際の売上に結びつく準備はできているのだろうか。

フェイスブックやアルファベットなどの企業は、すでにVRに大きく賭けている。しかし、いくつもの製品の発売が予定されているものの、現時点ではまだVRが一般に浸透しているとは言い難い。

「VR新時代」の先駆けになるべく開発されたフェイスブックのVRヘッドセット「Oculus Rift」の出荷開始を今月に控えるいま、ウォール街に米国本部を構えるドイツ銀行は「VR時代がついに到来したのか」について分析をしている。

ロス・サンドラー率いる同行調査部門は、アップル「iPhone」などのスマートフォンの初期売上を比較対象にしている。

3月3日(米国時間)に発表された同行調査部門による68ページの報告書には、「普及サイクルの観点から見て、VRのエコシステムは現在『2007年のスマートフォン』期にあると我々は考える」と書かれている。

「スマートフォンが米国内で1億人のユーザーを獲得するまでには4~5年かかった。VRに関しては、これよりも遅いペースでの普及曲線が予測されるが、それでも巨大市場の形成に十分な力強さを持っている」

キラーアプリ登場までにタイムタグも

しかしリスクとして、今後2年間ほどのあいだは、ユーザーが本当に欲しがるような付随コンテンツを欠くハードウェア売上の割合が高くなる可能性があり、そのせいで消費者がVRに対してかなり否定的になる期間が生じる恐れもあるという。

彼らはこの点に関しても、2007年のiPhoneローンチから、スナップチャットやフェイスブック、ウーバーなどから人気アプリがリーリスされ、ユーザー基盤の構築と売上増加が後押しされるようになった時までのタイムラグを引き合いに出している。

「2016~17年にVRハードウェアが広く普及したとしても、メディアやアナリストたちは『キラーアプリはどこだ』『いたるところでVRシステムがほこりをかぶっているのはなぜだ』などと疑問を呈し始めるかもしれない」と彼らは言う。

「『失望のギャップ』が、2017年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)やモバイル・ワールド・コングレス(MWC)のテーマになる可能性はかなり高い」

こうした不安材料があるにもかかわらず、ドイツ銀行のアナリストたちは自らについて、VRの未来に対して「非常に楽観的」であると述べている。

ゴールドマン・サックスは2016年1月、VR技術普及の伸び悩みを予測する報告書を発表した。しかしその一方で、VRと拡張現実(AR)は10年以内に800億ドル規模の市場に成長する見込みがあるとした。

「VR/ARは、次のコンピューティング・プラットフォームになる態勢ができていると我々は確信し続けている。そして、デスクトップからモバイルへの推移と同じく、VR/ARは既存の価値観を破壊するだろう……2016年の前半には、かつてない目覚ましい進展がVR/ARに起こるだろう」と報告書は述べている。

原文はこちら(英語)。

(原文筆者:Julie Verhage、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:mikkelwilliam/iStock)

©2016 Bloomberg News

This article was produced in conjuction with IBM.