【中室牧子】いま教育界に必要な「エビデンスベースト」の改革
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以前より教育委員会には予算査定の場などで「もう少し費用対効果を意識した形で予算要望してもらえないか」と常々言っていましたが、なかなか進みませんでした。
中室さんのお話を伺い、そして著作を読んで、非常に分かりやすいと感じたので、教育長に本を貸したところ、そのまま教育委員会幹部が全員本を買い、一気に考えが広がりました。首長や財政部門が言うよりは、教育関係者の方が彼らは受け入れやすいようです(笑)
折りしも①教育委員会制度の改正で市長が総合教育会議を主催し、市長と教育委員が議論して大綱をまとめることになっていたこと、②政令市に平成29年度から県費教職員の財源・権限が移譲されるため千葉市独自の教員配置戦略が求められていたこと、③アフタースクール充実などのため文部科学省から人材を招聘し、教育企画課長に任命すること、などタイミング的にも最高の流れでした。
中室さんには本当に感謝しています。
今、千葉市はあらゆる観点からエビデンスベーストの改革をする体制が整いつつあります。教育は成果が出るのは時間がかかりますが、中室さんや関係者とも連携し、効果検証を重ねながら着実に成果を出していきたいと思います。第6回は『学力の経済学』で知られる中室牧子准教授インタビューです。教育に「何に投資すればもっとも効果が上がるか」という考え方を取り入れることは、自治体の財政難や教師の人材不足という深刻な課題があるなかで極めて重要なポイント。教育をデータで見ることに反発は多いはずですが、なぜそれが必要なのか、中室先生は本当に丁寧に語ってくれています。
やや記事ボリュームが長くなってしまっているのですが、これ以上削ることができませんでした。ぜひお読み頂ければと思います。
次回の掲載は来週月曜です。EdTechのフロントランナー・佐藤昌宏教授が登場します。エビデンスはとても重要なのだけど、それは多くの場合、教育予算を削る方向で利用されることが多いのが残念。○○にお金を投入をすれば教育効果上がりますよ、というエビデンスはなぜかスルーされる。現場の先生方がエビデンスに対して否定的な気持ちになるのも、エビデンスが偏った形で使われることを恐れてのことだろう。
たとえば、中室先生も言及している、一クラス当たりの生徒の数を減らしても教育効果は変わらない、というエビデンス(http://www.telegraph.co.uk/education/educationnews/11675669/Class-size-has-little-influence-on-the-quality-of-teaching-expert-says.html)。
確かに、これは正しい。自分も、今教えている1クラス100人の授業で、突然学生の数が70名になっても、教育効果を有意に改善することは出来ないだろう。教える内容が同じだからだ。
しかし、学生の数が半分になれば、話は違う。今までよりもっと宿題を出せるようになるし、出す問題も高度にできる。採点の手間が半分なわけだから。つまり、学生数が減ることで、教育内容を変えることができるし、それによってはじめて教育効果は向上する。しかし、「一クラス当たりの生徒の数を減らしても教育効果は変わらない」という表面的なエビデンスだけ見ている人間は、こういったことはわからない。
もちろん、こんなことは中室先生は当然わかっているし、記事でも説明はあるけれど、多くの人はキャッチ―なところしか見ないからね。教育経済学者の方々は、これを踏まえたうえで政府などへ提言してほしい。エビデンスも、取り扱いを間違えれば害にしかならない。