【氏家夏彦】それでも「テレビの未来が明るい」と信じる理由
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注目のコメント
テレビを取り巻く環境はさらに厳しくなっていますが、だからこそ進化の可能性が高まっています。
メディア論ブログの「あやぶろ」用に書いた原稿なんですが、こちらに掲載することになりました。先月リリースされた電通の日本の広告費と、NHK放送文化研究所の国民生活時間調査のデータを元に書きました。
最後にこの連載、テレビの「次」の1回目記事についての考察を付け加えました。これは、グラフの見方が違うんじゃないかなぁと。ある特定の世代の視聴行為の動向を見るよりも、特定の世代が、その後視聴行為をどう変化させているかを見るべきなんじゃないかなぁと思います。
例えば、95年に30代の女性は、10年後の40代のときには視聴行為が減ってるものの、更に10年後の50代では増えてます。そうやって見ると、各年代のライフスタイルと視聴行為がどう関係しているかが読み解けて、その変化に対しての外的要因の効果が分かるんじゃないかなぁと。例えば面白いのは男性の20代から30代への変化で、95-05では、視聴行為が増えているのに対して、05-15では大幅な減少に変化しています。この辺りがポイントのように見えます。
ラジオや新聞を見ると、単純にグラフが右にシフトしてます。つまり、新規に若年層の開拓が出来てないだけで、ラジオや新聞を利用してる人はそのまま利用し続けているということかと思います。さらに言えば、95-05でも似た傾向なので、スマホは大して関係ないんじゃないかなぁという気もします。
それに対してテレビは、若者の下落の変動が大きいのに対して、高齢の特に女性の増加が顕著です。想像するに、2005年にこのグラフの形を見たテレビ局が、ターゲットを高齢者層に絞った番組作りをしていったのではないかなぁと。シンプルに刹那的な視聴率を求めるなら、視聴行為の分布に即したターゲティングをするべきですが、長期的に見ると、ある特定の世代はどんどん見ない側にシフトしていくということになるわけで。これは、昨日の30−40代の男性の見たい番組がないというのとも対応しています。
このあたりの戦略を間違えると、どんどん若者のテレビ離れは加速していくと思います。視聴率参考にしない方がいいんじゃないかなぁ接触時間シェアから見るとテレビからネットに広告費が移るという説と、テレビは唯一無二の存在なので視聴率云々ではなく景気に連動したマス認知させたい総需要で決まるという説の双方を見ますが、この記事は後者
中間にあるのは、本連載のはじめにコメントしましたが、ネットとの意図的または意図せざる連携でテレビの広告価値が実は上がってるという「ネットの拡声器化」ということなのかと思います
一方で広告費が落ちないのは広告主の慣性や、代理店の「努力」によるもので、合理的ではないという面もあるので、そこが強いと考えれば前者の説のサポートになりそうです
いずれにしろどう理解するかは非常に重要な論点ですね