[東京 29日 ロイター] - 財務体質の強化を迫られている東芝<6502.T>は、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの全株を売却する方針を決めた。当初は株式の過半数を売る予定だったが、売る対象を拡大し売却益の増額を目指す。2次入札は3月4日に締め切られる。複数の関係筋によると、価格は当初の想定より上振れる可能性も高まっている。

東芝は当初、東芝メディカルの株式の「過半数」を売りに出す方針を示し、1月末に1次入札を実施した。

複数の関係筋によると、今週末に締め切りを迎える2次入札には、富士フイルムホールディングス<4901.T>、キヤノン<7751.T>、コニカミノルタ<4902.T>のほか、コールバーグ・クラビズ・ロバーツ(KKR)<KKR.N>の4陣営が参加するとみられる。

東芝は2月、会計不祥事による業績不振から2015年度の最終赤字が当初予想の5500億円から7100億円に膨らむことを明らかにした。株主資本比率も2.6%(前年度は17.1%)に低下する見込みで、財務の健全化が急務となっている。

買い手が当初想定していた買収価格は4000億円程度(全株式取得の場合)だったが、ある関係筋は「6000─7000億円に価格がつり上がっている」とも指摘している。別の関係筋によると、東芝メディカルの妥当な価格は本来、4000─5000億円とみられている。

富士フイルムHDとキヤノンは単独で応札、一方、コニカミノルタはプライベート・エクイティ(PE)ファンドのペルミラ[PERM.UL]と組み、KKRは三井物産<8031.T>と組んでいるもよう。ただ、ある関係筋は、KKRは価格が最終的に大幅につり上がれば「本気で(2次に)参加して来ない可能性もある」とも指摘している。 1次入札には、カーライル<CG.O>、ベインキャピタルなど大手ファンドも含まれていたが、価格の上昇によって戦線離脱を余儀なくされた。価格が高くなると、ファンドにとっては、エクイティを多く出す比率が高まり、投資家に還元する期待リターンが低くなる恐れが生じるためだ。

富士フイルム、キヤノン、コニカミノルタはそれぞれ、コメントはしないと述べた。KKRもコメントは差し控えるとした。ペルミラもノーコメントとしている。

*写真を更新して再送しました。

(江本恵美、藤田淳子、取材協力:山崎牧子)