【藤沢×小暮(3)】NPOだからこそ解ける課題がある
2016/02/24, NewsPicks編集部
イノベーターズ・トーク Part 3
【藤沢×小暮(3)】NPOだからこそ解ける課題がある
2016/2/24
今や企業が社会貢献に積極的に乗り出すようになった。と同時に、NPOの間でも事業の採算性を重視する動きが広がってきた。そう、社会貢献をする主体に垣根はなくなりつつあるのだ。
こんな時代に、NPOの存在意義はどこにあるのだろう。その問いかけに、小暮氏は「僕はやはりNPOでしか解決できない社会課題はあると思う」と言葉に力を込める。そこで彼が語ったNPOならではの強みとは何か。
企業も社会貢献をする時代
藤沢:かたや企業が社会貢献に積極的になり、片や事業性を重視するNPOも増えたりして、結果的に社会貢献をする主体の垣根がなくなりつつあります。NPOの存在意義が問われる時代になったと言えるかもしれません。
小暮:おっしゃる通りですね。でも、僕はやはりNPOでしか解決できない社会課題というのはあると思います。
先ほど(第1回記事)話に出たフローレンスが取り組んでいる病児保育の問題だって、霞が関や地方行政だけに任せて解ける問題ではなかったと思います。でも、放っておいたら日本の経済や労働者の生活は立ち行かなくなるのは明白で。
つまり、中立的な立場で問題を見続ける“専門家”は絶対に必要で、その役割をNPOはこれからも担い続けていくのだと思います。それに、企業に比べると圧倒的に少ないリソースでスピーディーに動ける機動力にも意義がある。
企業との違いで言えば、一番の違いは「最終的な受益者が誰なのか」ですよね。企業は誰のものなのか、突き詰めていくと結局は「株主のもの」になる。ヨーロッパでは株主が企業の長期的戦略としての社会貢献事業を評価する姿勢が一般的ですが、日本はまだ配当主義が優位に立つ。
株主を気にせず、自由な立場で活動できるというのがNPOの強みだと思いますね。
藤沢:社会貢献の要素が強い事業を行うソーシャルアントレプレナーは、日本でさらに増えると考えています。そのカギを握るのが「寄付市場」です。
昨年12月に、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグが今後とも5兆円の寄付を行うことがNewsPicksでも話題になりました。その中から24億円を教育系NPOに提供しています。米国で大口寄付ができるのは、それだけ受け皿になる社会的な組織があるからです。
東日本大震災のときも、全国から寄付金が一番集まったのは日本赤十字社でした。3800億円弱が、被災者に直接渡っています。
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注目のコメント
ザッカーバーグは24億円を投じて教育系NPOを支援しています。小林りんさんは15億円の寄付を集め、軽井沢にインターナショナルスクールを設立しました。震災で寄付が4000億円弱集まったように、日本にも寄付のポテンシャルはあります。「1億円を預かって、社会的成果を出せるNPOがどれだけ生まれるか?」が、日本の新しい公益/公助を生み出す上で、大事な命題だと考えています。
欧米社会と比べ、日本にはなぜ大口寄付が根付きにくいのか。よく言われるのは「キリスト教的価値観」「ノブレス・オブリージュ」だったり、「日本では多額の寄付をしたと公表すると叩かれる」というもの。ですが、この対談で藤沢さんが指摘されている点にはハッとさせられました。つまり、「数億円数十億円単位の資金を受け取って有効に使える事業体」がないからだ、と。政府が税金を集めて再分配するのと大差ないお金の使い方では、寄付する側も「だったら税金でいいじゃん」と思ってしまいますよね。
そうではなく、「ここに寄付すれば私のお金を最大限に有効活用してくれる」と信頼できる事業体がいくつも存在して、寄付者は多様な選択肢の中から選ぶことができる。そういう環境が日本にも早くできるといいですね。当たり前ですが、NPOの内部事情を理解した上で資金調達できる人が必要なんだろうなと思います。
少しかじっているだけですが、自分が感じるNPOマーケティングの難しさ。
①成果指標は社会の変化
社会課題の解決度合い、社会的インパクト指標をもつ、無理にでも数値化する。←簡単に市場規模を算出できるものではないので難しい。
②寄付収入・助成金・事業収入のバランス
NPOは会員からの寄付収入は大きな資金源であり、会員数は、価値観を本気で共有できている人がどれだけいるかの指標になる。寄付に頼ることが悪いわけではない。ポートフォリオをどう組むかの戦略が大切であり難しい。
③多様な関わり方を設計する
社会課題への問題意識は人それぞれ。ボランティアとして強く問題意識のある人に関わってもらう、寄付だけしてもらう、など参加レイヤーを複数用意することが大切。
学生から高齢者まで関わる人は多様なのでマネジメントは難しい。しかもリソースは限られる。
ミッションへの当事者性と戦略のバランスをもって資金調達をできる人が必要。そうなれるよう現場に出ながら、資金調達についても考えていきたいです!
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