[ワシントン/デトロイト 9日 ロイター] - 米グーグルが開発中の自動運転車について、米当局は搭載される人工知能(AI)を連邦法上の運転手とみなす方針を明らかにした。無人運転車の承認に向けて一歩前進した格好だ。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)高官がグーグルの親会社であるアルファベット<GOOGL.O>に、4日付で見解を示す書簡を送った。

それによるとグーグルは昨年11月12日に運転手を必要としない自動運転車のデザイン案を当局に提出した。

これに対しNHTSAは、グーグルが示した自動運転システムを「運転手」とみなすとし、「過去1世紀以上にわたって必要とされてきた伝統的な意味での『運転手』は、グーグル(の自動運転車)には不要との主張に同意する」との見解を示した。

自動運転車を競って開発している自動車メーカーやハイテク企業は、州や連邦安全当局の規制が自動運転車のテストや開発の妨げになっていると不満を示している。

自動車業界調査会社ケリー・ブルー・ブックのシニアアナリスト、カール・ブラウアー氏は、自動運転車に関しては、依然として法的な問題があると指摘。

その上で、仮にNHTSAが、AIを人間が運転する車の代わりと認める用意があるなら、自動運転車の普及に向けた手続きはかなり簡単になるとの見方を示した。

NHTSAは書簡で、いくつかの安全装置の搭載を義務付ける規制をすぐに緩和することはできないと説明。「次の課題は、人間が運転する車に適用するよう設けた基準を自動運転システムが満たせることをグーグルが証明できるか、また、どのように証明するかだ」としている。

グーグルの広報担当者は9日、NHTSAからの書簡を精査していると明らかにした。

同社は一方で、安全のための機能が搭載されているにもかかわらず、人間がその機能を制御しようとすることが何よりも危険だとの見解をNHTSA側に伝えている。

NHTSAの書簡によると、グーグルはステアリングやアクセル、ブレーキなどをコントロールするシステムを搭載する車に人間が乗った場合、乗っている人が自動運転システムの決定を無効にする可能性があり、安全面で有害だと指摘している。

*内容を追加します。