【開発ヒストリー】狙ったのは「夕食に出せる袋麺」 発想転換で大ヒット「マルちゃん正麺」を生み出した 東洋水産
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「生麺うまいまま製法」は、特許第5153964号がそれに該当します。
請求項1は「 麺の断面積の空隙率が0.1%以上15%以下であり、麺の断面積の単位空隙率が0.01%以上1%以下であり、30%~75%の糊化度と多孔質構造とを有した乾麺」でモノ特許の構成なのですが、請求項第2-4には麺体を発泡化および乾燥する温度が「90℃~150℃」「90℃~130℃」「120℃~150℃の第1の処理と、それに続く50℃~120℃での第2の処理」とあります。
従来の即席麺は生麺を蒸して揚げる、蒸して乾燥する、生麺、のどれかなのですが、生麺うまいまま製法は生麺を90〜150℃の範囲で指定される温度乾燥する事で、蒸して乾燥する乾麺の手法でありながら「簡単且つ短時間で良好に調理可能な乾麺およびその製造方法が提供される」事を実現するに至った事を進歩性として主張しています。
ただし、明細書では従来技術の課題は以下であったと主張していますが、それがこの発明で解決された理由は明示されていません。恐らく発明には明文化されていない、製造ノウハウの範疇に入る技術が相当あると思われます。
「生麺線は、20 ℃~60℃での低温で2~20時間かけて自然乾燥に近い条件で乾燥される。このような 製造過程では、乾燥時の湿度や温度の微妙な変化によりひび割れを生じることが多い。従 って、上記のような長い時間の乾燥が、過度の水分蒸発による麺の割れ防止のためには不可欠である。」
ちなみにこの特許は、中華麺、パスタ、うどん、ソバなど麺であれば何でもよく、原料粉も強力粉、準強力粉、薄力粉ディラムセモリナ粉などの小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、馬鈴薯、ジャガイモ、サトウキビおよびタピオカなどの澱粉等でも良いそうです。まあ、その実現性と価値はともかく、特許の該当範囲は出来る限り広くとるのが基本ですからね。