(ブルームバーグ):再建策をめぐる報道が連日相次ぐシャープの株価が続伸。再建は政府系ファンドの産業革新機構案が有力になっている。事情を知る複数の関係者が21日、明らかにした。シャープをめぐっては、台湾の鴻海精密工業も約6000億円で買収提案をしたことが明らかになったばかり。

22日のシャープ株は一時、前日比12%高の143円まで買われた。関係者によると、機構案の方がシャープの技術の国外流出を防ぎ、将来的な国内メーカーとの提携がしやすいという利点があるという。資金は課題の液晶事業のほか、家電や複写機事業などの構造改革にも用いる。機構の提案は正式なものではなく、合意に至らない可能性もある。関係者の1人によると、機構はシャープに対し約3000億円の支援を打診している。

シャープは前期(2015年3月期)、2223億円の巨額純損失を計上し、今期の営業利益予想についても昨年10月に下方修正した。発表資料によると、同9月末の有利子負債は7587億円に上る。

ジェフリーズ・グループのシニアアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は「シャープと機構、日本政府は、鴻海がシャープを買収した場合の人員削減を懸念するだろう」と話した。シャープにとって、選択肢は機構の「一択」だという。

機構は09年、日本の次世代産業創出を目的に官民で設立され、総額約2兆円の投資能力がある。これまでに中小型液晶パネルのジャパンディスプレイや半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスに出資した。

シャープの広報担当、関喜文氏は液晶事業の構造改革などについて複数社と協議を継続しているとした上で「個別の協議の内容についてはコメントを控える」と述べた。機構の広報担当者からの回答は得られていない。

22日付の日本経済新聞朝刊は、シャープが機構主導で再建を目指すことが固まったと伝えた。

--取材協力:Pavel Alpeyev.

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