3Dプリンターで金属系部品製造法開発へ
2016/01/21, 日刊鉄鋼新聞
経済産業省は、3Dプリンターを使った金属系部品の製造を視野に、製造プロセスや材料の開発に乗り出す。金属系部品の製造に3Dプリンターを活用すれば、開発期間の短縮や製造コストの低減が期待できる。ただ実用化には、3Dプリンターに適した材料の開発に加え、金属素材を溶融・凝固させるプロセス手法の開発が課題。経産省は実用化に向け、2017年度以降に官民共同のナショナルプロジェクトを立ち上げたい考え。その前段として、まずFS(事業化調査)に着手した。
3Dプリンターによる金属系部品をめぐっては、欧米の航空機メーカーが一部部品で開発に成功しているが、耐久性や耐熱性を求められる部品での実用例はほとんどない。ただ将来は、航空機や自動車で使う超耐熱部品などでの利用が期待されている。
特に、3Dプリンターによる製造部品は複雑形状の部品や小ロット部品の製造にも有効とみられており、今後、各国で開発競争が激化する見通しだ。
実用化に向け不可欠なのが3Dプリンター用の金属材料の開発。経産省は、従来の鋳造・鍛造用組成の原料ではなく、三次元積層造形用の新しい合金粉末が必要になるとみている。
金属では鉄やアルミ、チタン、ニッケルなどさまざまな素材が想定されるが、まずはチタン、チタン―アルミ、ニッケルなどでの開発に取り組む。
実際の製造では、部品の特性を向上させたり、製造コストを軽減したりするため、最適な製造プロセス(溶融・凝固プロセス)の確立が重要。経産省は、こうしたプロセス条件を確立するには、大量データの処理・分析技術や人工知能技術(AI)による材料設計手法「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」の活用が有効とみている。
今後の研究開発では、材料開発を含めMIによる設計・シミュレーション手法も確立したい考えだ。
FSは金属系材料研究開発センター(JRCM)に委託する。17年度以降のナショナルプロジェクトの立ち上げでは、特殊鋼メーカーなど民間の素材メーカーの参加が見込まれる。
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コメント
注目のコメント
B737 MAXに用いられるLEAP-1Bエンジンでは、3Dプリンタ使った燃料ノズルが搭載されている。おそらくこれは耐久性・耐熱性がかなり必要な領域。どこが作っているのかが気になるが、技術がないわけではない。今から経産省が取りまとめてやるのはなぜなんだろう?
http://www.gereports.com/post/119370423770/jet-engines-with-3d-printed-parts-power-next-gen/Katoさん、興味深い工業高校系ピックありがとうございます。日刊鉄鋼新聞…。笑
いまNPで絶賛連載中の記事でリフキン氏も注目している3Dプリンティング。
実際に活用しようとすると、金属材料の開発も必要になるのですね。
そこがクリアできれば、複雑な形状の部品や小ロット部品の製造に有利とのこと。経産省はちゃんとお仕事してますね。
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