イノベーターズ・トーク
【小林史明×西田亮介】自民党のメディア戦略
2016/1/18
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたち。彼らは今、何に着目し、何に挑もうとしているのか。連載「イノベーターズ・トーク」では、毎週2人のイノベーターたちが、時代を切り取るテーマについて議論を交わす。
第9回には、自由民主党・衆議院議員の小林史明氏と、東京工業大学准教授の西田亮介氏が登場する。
NPのプロピッカーとしても活躍する2人。今回は、西田氏の近著『メディアと自民党』をもとに、自民党のメディア戦略について議論する。
西田氏は本書の中で、「小選挙区制の導入やネットの普及により、55年体制で続いてきた政治とメディアの『慣れ親しみ』が失われた」と指摘。自民党がどのようにメディア戦略を変化させてきたのか、歴史を振り返りながら分析している。
小林氏は、NTTドコモでビジネスパーソンとして活躍した経験から「ネットメディア局次長」などを務め、インターネット動画チャンネル「カフェスタ」の運営にも携わるなど、現場の第一線で活動中。今自民党のメディア戦略がどのようになっているのか、その現状を語る。
果たして、自民党が抱える今後の課題とは。そして、政治とジャーナリズムとの関わりについて、どう考えるべきなのか。過去から現在までの取り組みを通して、知られざるその内情を解き明かす。
西田氏は、「自民党のメディア戦略は、野党時代も含めて試行錯誤の軌跡が見えて、他党と比較しても抜きん出ている印象がある」と語る。
その中で、政府与党のIT情報戦略を率いるキーパーソンである小林氏は、どのようにして有権者にアピールしているのだろうか。
NTTドコモでの人事採用担当だった経験も生きていると語る小林氏。その手腕に西田氏が迫る。
第1回「自民党のファンを増やすための戦略とは」に続く。
インターネット動画チャンネル「カフェスタ」など、ネットの広報戦略にも力を入れている自民党。小林氏は「従来のメディアだけでは、伝えきれない部分もある」と語り、ネットメディア局次長の立場から、若者層へのメディア対策を推進している。
政党と有権者の間では、どのようなコミュニケーションのかたちが望ましいのか。西田氏が自民党の戦略を振り返りながら、「若者をネットで洗脳する」という批判的な声や、ネットとリアルの関係性について議論する。
第2回「政治にも求められるネットとリアルの融合」に続く。
西田氏は、中選挙区の時代から小選挙区の時代に移る中で、政治家とジャーナリストの関係性が変化し、その過程で第4の権力として政治をモニターするメディアの機能が弱体化していったという。
こうした中で、小林氏は現役の政治家として、どのようにメディアと付き合い、また情報発信をしようとしているのだろうか。
インターネットの登場が変えたコミュニケーションの在り方とは。
第3回「変われないメディア、変わろうとする政治」に続く。
小林氏は、自民党がもっと情報公開を進めるべきだとして、政策の過程と結果をオープンにするとともに、「政策を決定していく段階でさまざまな立場の人の知恵を取り入れていく仕組みが重要だ」と語る。
西田氏も、記者や研究者などの一部を除いて政治的なプロセスが知られていないことを問題視。その結果として、陰謀論が生まれることがあると指摘する。
こうした現状を踏まえたうえで、小林氏は世の中に開かれ、かつスピード感を持って課題を解決する新たな仕組みをつくりたいという。それは一体、どのようなものなのだろうか。
第4回「これからの政治のキーワードは『オープン化』」に続く。
小林氏は、若年層へのアプローチには「スマホ対応」が不可欠だと語り、その対応を急いでいると語る。さらに、「政治が民意で変わってきた事実を知らない」ことが政治に対する無関心につながっているとして、それを打破するためのコンテンツ制作も進めているという。
西田氏は、政党側の情報発信が変わりつつある中で、受け手も情報を受け取る感度を高めなければいけないと指摘。その過程で、ジャーナリズムもまた「ジャーナリズムとして洗練されたコンテンツをつくるミッションが切実になる」と語る。
最終回は、今後の政治をめぐるコミュニケーションの在り方について議論する。
第5回「自民党のメディア戦略が抱える課題自民党のメディア戦略が抱える課題」に続く。
本日より、5日連続でお届けします。どうぞご期待ください。
第1回：1月18日（月）公開
自民党のファンを増やすための戦略とは
第2回：1月19日（火）公開
政治にも求められるネットとリアルの融合
第3回：1月20日（水）公開
変われないメディア、変わろうとする政治
第4回：1月21日（木）公開
これからの政治のキーワードは「オープン化」
第5回：1月22日（金）公開
自民党のメディア戦略が抱える課題
（構成：宮本恵理子、デザイン：名和田まるめ、撮影：竹井俊晴）
