【佐山×堀江×楠木】堀江氏が叩いた因縁の2人とバトル

2016/1/11
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたち。彼らは今、何に着目し、何に挑もうとしているのか。連載「イノベーターズ・トーク」では、注目すべきイノベーターたちが時代を切り取るテーマについて見解を述べる。
堀江貴文氏は、かつて 「NewsPicks」のコメント欄でインテグラル代表の佐山展生氏と一橋大学大学院教授の楠木建氏にかみついた。
因縁の3人が、佐山氏の招きによって一橋大学大学院に集結。ここは2人が教授を務め、堀江氏にとってはアウェーだ。佐山氏の授業に堀江氏が登壇して講義をするという「 奇跡の授業」が実現した。
そこへ楠木氏が現れ、3人は楠木氏の教授室があるフロアへ移動。シャンパンで乾杯後、グラスを傾けながら、7つのテーマで議論を交わす。
当初は3人ともぎこちない笑みを浮かべ、表面的には和やかムード。だが、「『ハートのある投資』は実現可能か」「経営学は有効か」「『寿司屋の修業』は必要か」など、それぞれの価値観が問われるテーマの核心に及ぶと、思わず声を荒げる場面も──。
続いて赤ワインをあおり、舌鋒鋭くなっていく堀江氏と佐山氏。酒が飲めない楠木氏だけは緑茶とコーラで終始、冷静に“ラウンド”に立つ。
この「奇跡の因縁バトル」の模様を動画とともに完全リポートする。
「修業」や「下積み」は必要?
堀江氏が警鐘を鳴らし、「NewsPicks」のコメント欄で盛り上がった 「寿司屋の修業」論争
堀江氏は、「修業は時間の無駄」と言い放つ。それに対して佐山氏は、「メリットもある」と応酬。楠木氏は、「ビジネスは結果がすべて。プロセスはどうでもいい」と総括する。
しかし、堀江氏は「違う」と一歩も引かない。「ネギトロ巻の最先端って何だと思います?」と意表を突く質問を投げかけ、修業経験のデメリットを2人にこんこんと説く──。
「オヤジ殺し」や「組織のルール」を学ぶことは必要?
堀江氏は、オヤジ殺しをしなかったために損をした、ニッポン放送買収の一件を明かす。
組織に向いていないと自覚する楠木氏は、「組織のルールが必要ないところで生きている」と自分の生き方を話す。
オヤジ殺しをしない・できない2人は、「佐山さんはオヤジ殺しをしているでしょう?」と徒党を組むが、佐山氏は「私は自然体で生きているだけ。分け隔てなく付き合っている」と発言。
これを受けて堀江氏は、佐山氏が自然にオヤジ殺しをしてメンバーになったであろう“ある場所”を、すねながら指摘する──。
「経営学」は有効? 机上の空論ではないか。
堀江氏はかつて「 コンビニ居酒屋」のアイデアを提案したが、NewsPicksのコメント欄で楠木氏に否定され、「商売の経験もない頭でっかちの教授」と批判した。その怒りが、同大学院の教授である佐山氏にも飛び火した経緯がある。
楠木氏は、経営学者の仕事を「経営している人に何かの役に立ちたいと思ってやっている」と説明。実際にビジネスをしている堀江氏と佐山氏とは「住んでいる世界が違う」と淡々と語る。
「時間を浪費されると、俺の命を削りやがってと思う」と時間の重要性を繰り返す堀江氏に、佐山氏はうなずく。
楠木氏が「基本、ボーッと考え事をしている」と言うと、堀江氏は「お坊さんみたい」と表現。「学者」と「経営者」の決定的な違いが明白に──。
Round3「『経営学』は有効か」に続く。
「ハートのある投資」は実現可能? きれい事ではないのか。
佐山氏が唱える「ハートのある投資」。スカイマーク支援に際して、かつて堀江氏は「表で立派なこと言ってても結局は金儲け笑」と「NewsPicks」のコメント欄で痛烈に批判した。
このテーマで議論を始めると、佐山氏は「儲けるためにやっているんじゃない」と再び強く主張。「私が考えていることをできたら、儲かるんです」と力説する。
学者の楠木氏は両者の見解を引いて咀嚼し、「『ハートのある投資』は、汎用性はないと思う」と分析。投資家でもある堀江氏は「『ハートのある投資』は言い訳ワード」「そういう言葉を言う時点で負け」と持論をたたみかける。
挑発的とも取れる堀江氏の意見に、佐山氏は「私は負けているんですか」と気色ばむ。
激しく議論を戦わせる中で、堀江氏は「ハート」という言葉を極度に避ける理由を打ち明ける。対する佐山氏も「私は決して『ハートのある投資』を従業員に言っているんじゃない」と真意を丁寧に説明。
堀江氏はハッとして、「重要な論点が出てきた」「だから僕は捕まるんです」と気づく──。
「人の意見」を聞くべき? 「メンター」は必要か。
「NewsPicks」で「キャリア相談」の連載を持つ佐山氏と楠木氏。堀江氏も、自身のメールマガジンで読者の質問に毎週100問程度、回答している。
「結局、どんな質問が来ても『好きなようにしてください』と回答してきた」と言う楠木氏に、佐山氏も「結論は一つ」と明快。
では、3人はこれまで人に相談したことがあるのか。
意見があっさり一致するかに見えたとき突然、堀江氏が意外な一言を漏らす。「恋愛の相談はします」。
「えっ、今でも?」と聞き返す佐山氏。堀江氏の恋愛観が垣間見える──。
Round5「『人の意見』を聞くべきか」に続く。
「NewsPicks」と「Picker」をどう思う?
「NewsPicks」でとくに人気の高い堀江氏、佐山氏、楠木氏。「堀江さんはPicker(ピッカー)や読者の方と非常に相性がいいんじゃないですか」と楠木氏が言えば、佐山氏も「堀江さんは一番愛されていると思う」と称賛する。
連載当初、ピッカーに「人として醜い」とコメントを書かれたことを自虐的に話す楠木氏。「そんなの僕、普通に書かれていますよ」と堀江氏は励ます。
さらに楠木氏が、「連載しているうちに、好意的な人が多くなってくる」と不思議がると、堀江氏はオフラインとオンラインの現象を解説する。
「NewsPicks」については、ほかのメディアと違い、独特の面白さがあると3人ともに評価。堀江氏は「もっともっと面白くなる」と期待を寄せる。
ただ、「今後、良いものにお金を払うようなメディアがいっぱい出てくることが大切」と課題を挙げる楠木氏。「堀江さん、どうやったら有料会員が増えると思いますか」とお題を出す。
読者はどういう記事を有料で見たいのか、プロピッカーでもある3人は斬新なアイデアを出し合う──。
「2016年」はどうなる?
楠木氏は「2月に『好きなようにしてください』という僕の本が出ます」と、いきなり個人的な告知をぶっこむ。
「ずっと年間通して言っておられますがね」と佐山氏は苦笑しながら、「流行語大賞、いきますよ」と“予言”する。
佐山氏と堀江氏は今年、何に注力するのか。最後に楠木氏から、まさかのオチが──。
Round7「『2016年』はどうなるか」に続く。
(構成:上田真緒、デザイン:名和田まるめ、映像制作:古田清悟、植田城維、大海宏介、久藤拓実)