日本とアメリカ、どちらでスタートアップをはじめるべきか? - Scrum Ventures
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おっと、LIKE数が100を超えたので、続きを執筆します。
20年前にソフトバンクの孫さんに、まさにこの質問をしてみました。孫さんは、ソフトバンクを始める前に、バークレー留学時代に先ずは自動翻訳機の発明をして、その発明をシャープに一億円で売却をして、その資金で米国でゲーム関係のベンチャーを作っていました。
そのベンチャーを米国で立ち上げた後に、しばらくして会社を売却をして、日本の鳥栖に戻り、1年強のビジネス構想を思案したうえで、日本でソフトバンクを作りました。
だから興味があったので、孫さんに「日本と米国で立ち上げるのはどっちがよいと思いますか?」と聞いてみました。
孫さんの答えは、「アメリカで事業やってみてわかったことは、リーダーシップを発揮して組織を運営するのが難しいと言うことだ。忠誠心は低いし、自分勝手ですぐにやめてしまう。強い組織はつくりにくい。日本は、会社に対する忠誠心が強いし、心が響き合って、組織一丸となって進めていく力がある。僕は、事業を興すならば、日本で始めることにした。そして世界へと拡大する方が早いと思った」だった。
「なるほど」と思いました。
ちなみに、僕は、ソフトバンクのケースを1994年と95年に2回執筆し、個人的にインタビューを2回実施しています。その前から孫さんと親交があるので、もう20年以上のお付き合いです。
原発に関する「とことん議論」を実施したからか、「堀は孫さん嫌いだ」と指摘されます。だけど、僕は、孫さんを嫌いでも、反ソフトバンクでもないです。経営者として、孫さんは日本最高の能力を有していると思います。
ちなみにそれらのケースは以下2冊に書かれています。
「ケースで学ぶ起業戦略」(日経BP社)
「ベンチャー経営革命」(同上)
残念ながら、双方とも絶版となっています。
なぜそれらの本を書いたかと言うと、僕はハーバードで体系的にベンチャーを学んできたけど、日本のベンチャーの環境は知らなかった。だから、どうなっているのだろうかと疑問に思い、20社近くのベンチャー企業を調べケースを書き、共通するフレームワークを導き出し、起業家にインタビューしました。
ちなみに、これらのリサーチが、グロービスのベンチャー系科目の理論的支柱になっていて、グロービスの投資先企業の経営支援に活かされています。たまに「シリコンバレーで起業したい」という日本人の方とお会いすることがあります。その意気込みは素晴らしいのですが、まともに考えるとアメリカで事業を行う明確な理由がない限り、普通の日本人がわざわざ不慣れな海外で事業を立ち上げるメリットはほぼないんじゃないでしょうか。
採用にしても資金調達にしても、日本の方が圧倒的に楽です。シリコンバレーは機会やスケールする上限が広がりますが、スタートアップの絶対数、競争の激しさが比べ物になりません。
こんな御託をガン無視して挑戦するくらいの勢いがある方は向いているのかもしれませんが。
逆にマレーシアや台湾出身の起業家の友人などは、シリコンバレー以外の選択肢はあり得ないと言います。自国のマーケットが小さく、サポートも不十分だからでしょう。
規模もありサポート体制も整っている一方で挑戦者が少ないマーケットというのは、起業家にとってはおいしいんじゃないでしょうか。
それが社会全体にとって良いことかどうかは知りませんが。私達も起業家仲間でよくこの話はします。
単純に
「もし、起業家になることが決まってる人生なら、日本と米国どっちに生まれたかった?」
答えは半々です。
私は迷わず米国ですね。
もっと激しい競争状況なのはわかりますが、そこを抜ければもう世界のトップです。
日本でNO1になっても、まだ上にメジャーリーグがあるっていう今の状況は悔しいです。結局もう一度、気力を振り絞って世界に出ることになりますし、そこで諦める起業家も多いのです。
どうせなら最初から高いハードルの競争状況で若いうちに戦いたかったなあと。
ちなみに、朝倉さんが言われてる通りで日本に生まれた限りは日本で起業するほうが絶対的に有利だと思います。
まあ子供の頃から米国で育ったなら話は別ですが。