okabe_01_01_bana

新春特別座談会(前編)

日本サッカー界、現状打破のカギは「Jリーグのプレミア化」

2016/1/1
 オリンピックイヤーである2016年が幕を開けた。8月にリオ五輪が行われると、2020年の東京五輪まで4年となる。

新年を迎え、「スポーツビジネスに挑む日本人たち」では新春特別企画として、日本のスポーツビジネスをけん引している4人の座談会を実施。第1回では日本サッカー界の現状と未来について語られる。

日本サッカー界は停滞期なのか

──大変豪華な顔ぶれですが、はじめに4人の方々がそろった理由を教えてください。

岡部:全員がスポーツビジネスアカデミー(SBA)の講師で、各分野の専門家です。広瀬さんのスポーツマネージメントスクール(SMS)にも参画していただき、荒木さんがスポーツビジネス業界の次世代育成のためにSBAを立ち上げ、そこで藤井さんと僕は、アドバイザリーボードを務めています。

藤井さんは国内で唯一、Jリーグクラブ(セレッソ大阪)とプロ野球球団(北海道日本ハムファイターズ)の社長を務め、広瀬さんはトヨタカップ(現:クラブW杯)のプロデューサーをされて日韓W杯の招致にも携わり、SMSでスポーツビジネス界にも人材を輩出し続けてきました。

荒木さんは千葉ロッテマリーンズで事業本部長としてチーム改革を行い、現在は侍ジャパンの事業戦略を担当されています。こういった方々が、一堂に会することはほとんどないですが、読者の方々には若い世代や、スポーツビジネスを目指している社会人も多い。

そういった今後のスポーツ界を担う次世代の方々にとって、この4人が集まると非常に面白くなるのではないかな、と。ちなみに僕はつけたしですね(笑)。

──なるほど。それでは初回は、日本サッカー界の現状について聞かせてください。日本代表は2014年のブラジルW杯でグループリーグ敗退に終わり、昨年のアジアカップでもベスト8でした。

Jリーグのクラブも、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝から遠ざかっています。日本サッカー界は過去20年間に渡って右肩上がりの成長を遂げてきましたが、現在は停滞期にあるのかどうか、ご意見をいただけますか。

「日本サッカー界は現在停滞期にあるかどうか」という問いに対する4人の回答。藤井は「日本サッカーのビジネスは過渡期? リーグの発展が必要か?」、広瀬は「日本サッカーは停滞&停滞している」、荒木は「スポーツのグローバル化に向けたリーダーである」、岡部は「20年間伸びたが成長鈍化。欧州、アジア、アメリカは加速度的に成長中」と記した

「日本サッカー界は現在停滞期にあるかどうか」という問いに対する4人の回答。藤井は「日本サッカーのビジネスは過渡期? リーグの発展が必要か?」、広瀬は「日本サッカーは停滞&停滞している」、荒木は「スポーツのグローバル化に向けたリーダーである」、岡部は「20年間伸びたが成長鈍化。欧州、アジア、アメリカは加速度的に成長中」と記した

Jリーグの盛り上がりは必須

岡部:藤井さんの意見は、さすがですね。

広瀬:僕もそれはさすがだな、と思いました。

──藤井さんは過渡期と書かれていますね。

藤井:やはり日本サッカー界全体を考えると、Jリーグや各クラブがさらに盛り上がっていかなければならないかな、と。たとえば、ドイツのブンデスリーガが今は非常に勢いがある。リーグが盛り上がることで、ドイツ代表自体も強くなっている傾向があると思います。

日本には多くのクラブが生まれ、リーグもJ3までありますが、少し盛り上がりに欠けている気はします。

ガンバ大阪が寄付金で新スタジアムをつくるなど、一部では新しい試みは行われていますが、サポーターやファン、地域との関係が昔と比べて進化したという感覚があるかと言えば、そうとは言い切れない。そういう意味での過渡期ですね。

衝撃的だったドルトムント

──広瀬さんのご意見は過渡期とは違いますか。

広瀬:今後どうなるかで過渡期と言えるようになるかもしれませんが、現状だけを見ると間違いなく停滞していると思います。

競技面で言えば、昨年の1stステージと2ndステージの間にドイツのドルトムントが川崎フロンターレと対戦(ドルトムントが6-0で勝利)しましたが、かなり衝撃的でした。ドルトムントとフロンターレでは、まったく違う競技をやっていると思えるほどでした。

ドルトムントでも、昨年12月のクラブW杯で来日したスペインのバルセロナでも、引いて守るのではなく、前線からボールを奪いにいくような攻撃的な守備をします。

ところが、Jリーグで攻撃的な守備を行うクラブはほとんどありません。ブンデスリーガにおけるドルトムントは、Jリーグにおけるフロンターレと似ている立場なので、クラブの差ではなくリーグとしての差が出てしまったと言えます。

それに、各年代別代表を見ても、世界大会に出場できなくなってきている。そのことからも日本が停滞して、他国が強くなっていると見なさざるを得ません。

グローバル化におけるリーダー

──ビジネス面についてはいかがですか。

広瀬:ビジネス面でいうと、親会社からの出向組がクラブ経営することは、サッカーに限らずプロスポーツの興行としてあり得ないこと。構造的な要因なので、その部分を解消するまでさらに成長することは難しいと思います。

荒木:僕はあえて逆説的にしていますが、サッカーは今が日本スポーツ界のグローバル化におけるリーダーになっていると思っています。

どういうことかと言えば、これまでにサッカーは日本代表を中心に飛ぶ鳥を落とす勢いで成長した時期もありますが、リーグをつくって日本代表として世界で戦い、一つの事業にするということは、ほかのスポーツではありませんでした。

リーダーには必ず続くものがいますから当時はまだリーダーでなかった。しかし、今は、われわれのやっている侍ジャパンもそうですが、ようやく他競技がそれに追随するようになりました。

国内リーグの上に日本代表があって、世界と戦うというビジネスモデルをつくる上で、実はサッカーは今、日本のスポーツ業界におけるリーダーというポジションに座っている。それに対して、野球や他のスポーツがどのように追いついていくかという指針になっていると思います。

他国に比べて成長が鈍化している

岡部:ビジネスとして放映権を考えてみると、成長が鈍化しているのは間違いないと思います。

データとしても、過去10年におけるJリーグの放映権料はほとんど伸びていない。20年前からでも、2倍の伸びにとどまっています。

一方で、たとえばプレミアリーグでは同じ期間で何十倍も伸びています。現在におけるスポーツビジネスの最も大きな収入源は放映権。そういう観点からすると、明らかに成長が鈍化している。

広瀬さんも話しましたが、競技面においてもヨーロッパとは明らかな差があります。クラブW杯のサンフレッチェ広島と広州恒大の3位決定戦と、バルセロナとリバープレートの決勝を見たとき、やはり異なる競技というくらいに違いました。

確かにビジネスでも競技でも、僕らが部活でサッカーをやっていた頃と比べると、いろんな意味で成長しました。

ただ、同時にヨーロッパなどほかの地域もかなり伸びた。現在で言えばアメリカも中国も成長している。日本の成長が鈍化していることもありますが、周りが非常に伸びている現状はあります。

世界に追いつくための改革案

──リーグとしての差が出てきているという話がありましたが、次はJリーグが世界に追いつくための改革案を聞かせてもらえますか。広瀬さんは「プレミア化」「アジアの資本を呼ぶ」「ACL改革」を挙げられています。

広瀬:現在のJリーグは、1992年にイングランドにプレミアリーグが誕生した状況に似ています。

たとえば、ガンバとサンフレッチェの試合は内容としては悪くありません。しかし、上位と下位の対戦になると、一方が最初から引いて守ってしまう。それでは勝ち負け以前に、見ていて面白いとは言えません。

そして、そこがプレミアリーグの生まれた理由でもあります。スポーツ産業というのは、対戦するチーム同士が高いレベルで拮抗し、試合という商品の質を高くしなければならない。そのために、マーケットを再構築するということが一つあります。

広瀬一郎(ひろせ・いちろう) 1955年静岡県生まれ。東京大学卒。1980年、電通に入社してW杯やサッカーイベントのプロデュースに携わる。1994年11月、2002年W杯招致委員会事務局に出向し、W杯招致に尽力した。1999年12月にJリーグ経営諮問委員会委員に就任。2000年に電通を退職し、インターネットメディア『スポーツ・ナビゲーション』を立ち上げて代表取締役を務めた。2004年にスポーツ総合研究所を設立。2016年からオンラインサロンのSynapseで『広瀬塾』を開講。1月20日にmixiセミナールーム(渋谷)でキックオフイベントを行う

広瀬一郎(ひろせ・いちろう)
1955年静岡県生まれ。東京大学卒。1980年、電通に入社してW杯やサッカーイベントのプロデュースに携わる。1994年11月、2002年W杯招致委員会事務局に出向し、W杯招致に尽力した。1999年12月にJリーグ経営諮問委員会委員に就任。2000年に電通を退職し、インターネットメディア『スポーツ・ナビゲーション』を立ち上げて代表取締役を務めた。2004年にスポーツ総合研究所を設立。2016年からオンラインサロンのSynapseで『広瀬塾』を開講。1月20日にmixiセミナールーム(渋谷)でキックオフイベントを行う

それと、アジアにおけるサッカーの潜在力はものすごく大きい。各国とも日本に対する投資意欲は非常に高いですから、制度改革をすることで投資を呼び込んでほしいということもあります。

また、アジアにおける一番わかりやすい改革はACL。試合ごとの移動距離が長すぎることで、出場クラブは選手を2チーム分用意しないと戦えなくなってしまっている。それと、審判の質も上げる必要がある。この2つは、今ならJリーグがイニシアチブをとって改革できるはずです。

協会主導のアウトバウンド

──ちなみに広瀬さんから見て、気になる意見はありますか。

広瀬:岡部君の意見はどういうこと?

岡部恭英(おかべ・やすひで) 1972年生まれ。スイス在住。サッカー世界最高峰CLに関わる初のアジア人。UEFAマーケティング代理店、TEAM マーケティングのTV放映権&スポンサーシップ営業 アジア&中東・北アフリカ地区統括責任者。ケンブリッジ大学MBA。慶應義塾大学体育会ソッカー部出身。夢は「日本が2度目のW杯を開催して初優勝すること」。昨年10月からNewsPicksのプロピッカーとして日々コメントを寄せている

岡部恭英(おかべ・やすひで)
1972年生まれ。スイス在住。サッカー世界最高峰CLに関わる初のアジア人。UEFAマーケティング代理店、TEAM マーケティングのTV放映権&スポンサーシップ営業 アジア&中東・北アフリカ地区統括責任者。ケンブリッジ大学MBA。慶應義塾大学体育会ソッカー部出身。夢は「日本が2度目のW杯を開催して初優勝すること」。昨年10月からNewsPicksのプロピッカーとして日々コメントを寄せている

岡部:ポイントは、代表チームを強くすることが日本では非常に大事ということ。それは野球でもラグビーでも明らかで、強い代表だとおカネも集まり、競技力も上がっていく。ヨーロッパは代表というよりもクラブを重視していますけど、日本はやはり代表ありき。

そういう意味で、なぜ日本代表が勝てないかと言えば、ブラジルW杯でコートジボワールに負けたとき、途中出場してきたドログバにやられて、選手から「あんな選手はJリーグにいない」という声があがりました。残念ながら、代表選手がそういうことを言っている時点で勝つことはできない。

チャンピオンズリーグでは、Jリーグにはいない規格外の選手が、たくさんいるわけです。そういう選手と日常的に対戦しているので、長谷部選手や内田選手の体つきは変わっていきました。ならば、アウトバウンドとして、海外に選手を送る必要が出てきます。

Jリーグが始まり育成がうまくいったためか、昔よりも欧州などに渡る選手も増えてきましたが、もっともっと増やす必要がある。今の数では、ブラジル、アルゼンチン、フランスなどの選手輸出大国でもあるサッカー大国とは比較にもならない。

なでしこジャパンは、日本サッカー協会がおカネを出して、戦略的にアメリカやドイツでプレーさせてきました。同じように戦略的に人材を送り込んでみる。

そして、「選手」ではなく「人」と書いた理由として、スタッフも一緒ということ。国際サッカー連盟や欧州サッカー連盟の会合に、いきなり日本人が出席しても何もできません。ですから、選手やスタッフといった人材を協会主導で送り込むということです。

──人材という意味では、藤井さんは以前に1カ月ほどバイエルンに行かれたことがあったと思います。

藤井:やはり受ける刺激が違いますね。ただ、そういう環境に対応できるような人材でなければ厳しいかもしれません。言語はもちろん、食事も違う。大柄な相手に驚くようなこともありえます。日本で良くても、海外で力を出せない場合はありますね。

岡部:「アウトバウンド/インバウンド」と書いた理由には、以前はJリーグでジーコやレオナルド、ドゥンガらがプレーしていたように、海外から選手やスタッフを連れてくることが必要です。

しかし、Jリーグに資金がなくなり、中国の広州恒大にパウリーニョやロビーニョがいる状況。それならば、アウトバウンドを戦略的にやらなければいけないということです。

規格外の選手をつくり出す

──インバウンド、アウトバウンドで言えば、野球界も同じ問題を抱えていると思います。

荒木重雄(あらき・しげお) 1963年9月9日生まれ。1986年にIBMに就職し、ドイツ系通信会社の日本法人代表を経て、2005年に千葉ロッテのフロント入り。その後、パシフィックリーグマーケティングで取締役を務めた。現職は、SPOLABo代表、草野球オンライン編集長、千葉商科大学特命教授、A+代表、ホットランド取締役、NPBエンタープライズ執行役員、スポーツビジネスアカデミーで理事

荒木重雄(あらき・しげお)
1963年9月9日生まれ。1986年にIBMに就職し、ドイツ系通信会社の日本法人代表を経て、2005年に千葉ロッテのフロント入り。その後、パシフィックリーグマーケティングで取締役を務めた。現職は、SPOLABo代表、草野球オンライン編集長、千葉商科大学特命教授、A+代表、ホットランド取締役、NPBエンタープライズ執行役員、スポーツビジネスアカデミーで理事

荒木:私も事業と競技でわけて考えていて、事業に関して大きく成長するならば国内だけでは難しいと思います。

それに、放映権という切り口で見れば、アジアに目を向け、特にASEANが重要だと思います。ライブ中継というスポーツの最大の特徴を考えれば、時差が3時間に収まっていることは非常に高いポテンシャルになります。

そのためにはプレミア化というべきか、アジアから見た“The 日本サッカー”のトップ・オブ・トップのリーグがないと難しいと思います。J3までの50を超えるクラブでは、アジアからすればわかりにくいはず。厳選したクラブでトップリーグをつくり、アジアを巻き込んだ事業がいいのでは、という肌感覚はありますね。

競技力は野球を例にすると、どうして体が小さい中でメジャーリーガーに対して十分に対抗できたり、WBCで勝てるのか。そこに関して言えば、何だかんだ甲子園の影響だと私は思っています。

甲子園を目指して全国の野球選手がひたすら努力していくことで、プロに入った選手がいきなり1軍でレギュラーになる場合があるほど成長できる。そのポテンシャリティは甲子園があるからこそだと思っています。

サッカーでも高校サッカーとユースの問題がありますが、18歳までにおいて、国民的なブランドのある大会をつくり出し、そこをみんなが目指すような世界観ができれば、もしかしたら一気にレベルがあがることもあるかもしれません。

ただ、野球は野球で問題も抱えています。良い面と悪い面がありますが、「どうして昔の選手が記録をつくれて、今の選手はつくれないのか」と言われることがあります。昔の野球界はバラバラという状況でしたが、それによって自己流で甲子園を目指すことができた。それで何が起きたかというと、規格外の選手が出てきたわけです。

投げる能力は低くても、打撃ではものすごい打球を飛ばす選手がいたり、コントロールは悪くても、とてつもない速球を投げる選手がいました。そういう規格外の選手は型にはめなかったが故に生まれた産物だと思っています。

それが、科学的な理論が出てきたことで規格外から平均化していくことによって、特徴のある選手が出てこなくなったという意見もあります。サッカーでも、もしかしたらユースによってさまざまな特徴が平均化されている可能性もあるのかなと思います。

岡部:まさにそう思いますね。

J1のロイヤリティを上げる

藤井純一(ふじい・じゅんいち) 1949年大阪府生まれ。近畿大学農学部水産学科卒業後、日本ハムに入社した。1997年にセレッソ大阪の取締役事業本部長に就任し、2000年から代表取締役社長を務めた。2005年に北海道日本ハムファイターズの常務執行役員事業本部長に就任し、翌年から2011年まで代表取締役社長として球団を経営。国内で唯一、Jリーグクラブとプロ野球球団の社長を務めた

藤井純一(ふじい・じゅんいち)
1949年大阪府生まれ。近畿大学農学部水産学科卒業後、日本ハムに入社した。1997年にセレッソ大阪の取締役事業本部長に就任し、2000年から社長を務めた。2005年に北海道日本ハムファイターズの常務執行役員事業本部長に就任し、翌年から2011年まで社長として球団を経営。国内で唯一、Jリーグクラブとプロ野球球団の社長を務めた

藤井:僕はインバウンドでもアウトバウンドでも、おカネがなければどうしようもないという考えがあります。どのようにおカネを生み出すかと言えば、まずはビジネス強化があるのではないかと。

どうすればいいかと言えば非常に難しいですが、その意味でもJ1のロイヤリティを上げるべきだと。資金集めの際にも「J1に上がったら黒字になる」と言うところがありますが、そんなに簡単にはいかない。

ところが、その言葉を信じる方々もいます。そういう意味で、J1のロイヤリティをどれだけアップできるかが重要。たとえば、リーグに入ってきたおカネを集中的に投下していくことがあってもいいという気もします。

あとは収入が増えていけば、アウトバウンドで勉強として人材を海外に出すこともできるようになる。日本は社員を海外に出すことは少ないですが、僕は海外に行くことが好きですからファイターズのときも毎年社員を海外に出しましたし、セレッソでも40人でACミランを見学しに行って、あとで怒られたこともありました(笑)。

ただ、百聞は一見に如かずということで、みんなが「こうなりたい」と思うために世界の素晴らしいクラブを見るべきだという考え方がありました。今はそういう体験をすることも少ない気がします。トータルとしてマネジメント不足というか、組織を引っ張る指導力を持ってる人材が少ないのではないかなと。

象徴的なプレミア化とJ3

広瀬:皆さんのお話を聞いていて、象徴的なのがプレミア化とJ3の話と言えるかもしれません。結局、「誰が何を見ているか」でわかれてしまうわけです。つまり、J3は内向きで日本国内を見ていると言えます。

日本の47都道府県すべてにJリーグのクラブをつくるのもいいですが、アジアの人からすればそこに興味はないわけです。しかし、プレミア化することで外から日本を見たときに、他国と比べるという視点を持てると言えます。

日本国内だけを見ると、下部リーグを充実させることが正しい選択肢のように見えますが、それはある意味閉鎖された空間の中で決断しているだけの話でもあります。競合が外にいると誰も思っておらず、Jリーグという産業をマーケットに晒そうとしていないわけです。日本国内における閉ざされたマーケットで勝負するという発想ですから、グローバル化は難しいと感じます。

──プレミア化するなら、何クラブが理想になりますか。

広瀬:10から12クラブで、発足当初に戻すべきかもしれませんね。資金を集中投下して、10のビッグクラブをつくることを最優先にする。少なくとも6クラブはアジアを代表するクラブがあって、そこは海外でも勝負ができるようにする。おそらくアメリカのメジャーリーグサッカーもそれを目指すと思いますよ。

岡部:国際化とうたっているのに、質がプレミアムになっていないということですね。

荒木:それを実現するには、かなり振り切った考えをしないと難しいかもしれませんね。MLBやNFLもそうですが、なぜあれほど市場規模が大きいのかと言えば、何千億円もの年間の放映権料があります。

そのレベルまで持っていけば、国全体やアジアを含めて潤う仕組みができるでしょうね。MLBのように選手が莫大な給料を受け取りながら、下部の3Aから1Aまで潤わせるというシステムができて、初めて成り立つものだと思います。

日本のスポーツビジネス界を代表する4人が、日本サッカーの未来を熱く論じた

日本のスポーツビジネス界を代表する4人が、日本サッカーの未来を熱く論じた

(構成:小谷紘友、写真:是枝右恭)

*本連載は今回から3日連続で掲載予定です。続きは明日掲載します。