スタグフレーションまっしぐら。ブラジル経済の深刻度
2015/12/24, NewsPicks編集部
ブラジル経済を現地で診断
スタグフレーションまっしぐら。ブラジル経済の深刻度
2015/12/24
今年、マイナス成長が確実なブラジル。今、自動車や電機、飛行機などの産業はどんな状態にあるのか。アナリスト集団ロンジンの持丸強志アナリストと、和泉美治アナリストがブラジルを訪問取材した。その取材記の第四弾はブラジルの経済全体を俯瞰する。
マイナス成長が続く
悪化が続くブラジル経済は、2015年は6年ぶりのマイナス成長が確実視されている。
経済指標を見る限り、現在の経済状況は、リセッションを通り越してスタグフレーションと呼べる状況でもある。ブラジルは、過去に何度も超ハイパーインフレを経験しており、多くの人々は今の景気低迷を深刻に受けとめていない印象が強い。
12月1日に発表されたブラジルの第3四半期(7ー9月期)における実質国内総生産(GDP)は、対前年同期比で4.5%減、対前期比(対4ー6月期比)で1.7%減となり、厳しい経済状況が一層悪化していることが鮮明となった。四半期ベースのGDPが対前年同期比でマイナスとなるのは6四半期連続、対前期比でマイナスとなるのは3四半期連続である。
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コメント
注目のコメント
今年後半は政治リスクが経済に大きな影響を与えてしまいましたね。
資源安で輸出が伸びないのがわかっている中、何とか投資の流入を保つべく投資適格を保とうとしましたが、ペトロブラスを巡る政治のゴタゴタで財政収支目標がないがしろにされました。
その結果、ポピュリスティックな政治家たちの批判を浴びながらも踏ん張ってきた民間出身のレビ財務大臣の辞任。後任のバルボーザ前予算企画大臣は、レビーと歳出削減を巡って口論していた人物。市場はあまり期待してない。
投資適格を失ったことで今後の投資流入も黄信号。頼みは為替を安定させて資源以外の輸出を伸ばすことだが、長年の保護主義的産業政策でそういう企業が少ないし、あっても競合があまりいない南米の他の国しか輸出してなかったりする。
そしてその他の国も資源安で内需は停滞。
ただ外貨準備は3700億ドルと世界でも有数のレベルにあるので為替が底ぬけしてハイパーインフレになる危険はないでしょう。今までは外貨準備温存してきたけど1ドル4.5レベルになったらさすがにそうもいかなくなるのではないかなと見ます。
あとルセフの弾劾プロセスが始まっていますがこれはかなり時間がかかるので短期的に政治のゴタゴタは収まりそうにない。ブラジルでは、「レストランで食事をしている間に、料理の値段が大幅上昇/ひどい時は、2倍以上になったこともあった」というような経験をしている人が本当に多くいる。状況としてはそこまで悪くないという現場の感覚は大意だとは思うが、ラテン系の楽観的思考も手伝い、危機感はそれほど感じられないだけならこの先が怖い。
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