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RECRUIT×NewsPicks 求人特集

柴沼俊一に聞く、これからのコンサルタント像

2015/12/10
今、コンサルティング業が熱い。日銀、マッキンゼーを経てシグマクシスでマーネジングダイレクターを務める柴沼俊一氏に、変わりつつあるコンサルタント像とプロフェッショナルのあり方について聞いた。あわせてコンサルタント業界の求人も掲載する。

求められるのはプロフェッショナルの進化系、「アグリゲーター人財」

今、「デジタル化」「グローバル化」「国家間のリバランス」という3つの大きな動きが、ものすごいスピードで進んでいます。今までは問題解決能力があればよいとされてきましたが、これからはそれだけでは難しい。そのキーワードとなるのが、「アグリゲーター人財」です。

ちなみに、私たちは「人は材料(コスト)ではなく財産(アセット)だ」という理念のもと、「人財」と統一して表現しています。一般用語ではありませんが、ご理解いただきたいと思います。

アグリゲーターとは、社会の変化を予想し、さまざまな技術や人財のネットワークを築きながら新たなビジネスを組み立て、動かし、成果を生み出す人。自分自身の能力や価値観も進化させ続ける柔軟性も持っています。

わかりやすくいうと、プロフェッショナルの進化系、ともいえるでしょう。一つのことを突き詰めるプロフェッショナルに対して、アグリゲーターは、自らのプロフェッションを軸に複数の領域で価値を出す。大企業でありがちな、ジョブローテションで育成するゼネラリストとは、その能力がプロレベルであるという点で大きく違います。

さまざまな分野をまたいでプロフェッショナルとして動くだけではなく、それを横につなげていくブリッジ力も必要ですね。これから求められる人財のレベルというのは、それくらい高くなってきている。もちろん、優れたアグリゲーターは、どの企業にとっても次世代の幹部候補生でもあります。

コンサルタントは「早回し」でキャリアを磨ける

これからの時代を生き抜くために自分のキャリアプランを考えるのであれば、まずはプロフェッショナル領域を持つということが大前提。

しかし、与えられた環境でプロとしてのスキルを身につけよう、と年単位で考えていたら、あっという間に10年くらいたってしまいます。そういう意味では、コンサルティングファームには、「早回し」で自分のキャリアを磨けるチャンスがあることは間違いありません。

私自身、新卒で日本銀行に入行し、経済産業省への出向を含め金融政策などに10年間携わったのち、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入りました。転職した理由は、アンパイア的な仕事よりプレーヤー側に回ってみたいと思ったからです。

日銀時代は「根回し」に代表される調整能力が何よりも重要でした。でも、マッキンゼーでは「その手法を使っている限り、あなたは成長しない」と年下の先輩からズバッと言われ、衝撃を受けましたね。

以降、プロフェッショナルとしての問題解決の思考法や、必ずバリューを出すという意識、圧倒的なスピードと、高い基準のクオリティーを徹底的に学びました。まさに、「早回し」でキャリアを磨けたと思います。

そんなとき、知人から誘いを受け、旧ライブドアの金融部門で企業再生を手掛けることになりました。もともと企業経営をやりたかったですし、マッキンゼーでの経験を経て、そろそろチャレンジしてもよい頃だろうという思いもあり、受けました。

振り返れば、日銀で養った調整能力と、コンサルで身につけた問題解決能力の両方をフルに生かして取り組む、新たなチャレンジでした。企業再生というのは、ありとあらゆることを瞬時に判断しなくてはなりません。

ギリギリの状態でもなんとかやれたのは、「今までもなんとかやってきたんだから、今度も大丈夫」という、経験から培った自分への根拠のない自信のようなものがあったからだと思っています。

柴沼 俊一(しばぬま・しゅんいち) 株式会社シグマクシス マネージングディレクター。1995年東京大学経済学部卒、2003年ペンシルバニア大学経営大学院ウォートンスクール卒。1995年日本銀行入行。調査統計局、国際局、考査局にてエコノミスト・銀行モニタリングに従事。途中2年間、経済産業省産業政策局に出向。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、国内ファンドにて投資先企業再生に携わり、2009年シグマクシスに入社。2015年より現職。同社投資先のグローバルセキュリティエキスパート株式会社取締役(兼務)。グロービス経営大学院教授(企業再生・変革、イノベーション、国家政策)。 著書: 『知られざる職種 アグリゲーター』(2013年日経BP)『「コンサル頭」で仕事は定時で片付けなさい! 』(2009年PHP研究所)

柴沼 俊一(しばぬま・しゅんいち)
株式会社シグマクシス マネージングディレクター。1995年東京大学経済学部卒、2003年ペンシルバニア大学経営大学院ウォートンスクール卒。1995年日本銀行入行。調査統計局、国際局、考査局にてエコノミスト・銀行モニタリングに従事。途中2年間、経済産業省産業政策局に出向。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、国内ファンドにて投資先企業再生に携わり、2009年シグマクシスに入社。2015年より現職。同社投資先のグローバルセキュリティエキスパート株式会社取締役(兼務)。グロービス経営大学院教授(企業再生・変革、イノベーション、国家政策)。 著書: 『知られざる職種 アグリゲーター』(2013年日経BP)『「コンサル頭」で仕事は定時で片付けなさい! 』(2009年PHP研究所)

「コンサルティング」から「リアルビジネス」へ。コンサルの姿も変わる

2008年、創業間もないシグマクシスに身を転じ、戦略コンサルティングを提供しながら、M&Aサービスを立ち上げました。コンサルファームがM&Aに関わる場合、通常は売買リストを作成、戦略提案するところでおしまいです。

しかし、我々はその先にある交渉や取引、実際のディール締結までやりきるチームを作り、戦略コンサルティングと連動させたサービスとして展開しました。

2013年12月のマザーズ上場を機に、コンサルとリアルビジネスの2本立てにビジネスモデルを変更。クライアントと一緒にジョイントベンチャーやインキュベーションを立ち上げています。

本当に価値を出すためには、知恵や人だけではなくお金も出して、一緒に事業を運営しリスクもとる。それが私たちの考える、新しいコンサルティングのスタイル。出資した株式は長期で保有し、我々の能力も入れながら、一緒にその事業を大きく育てていくという立場です。

もはやこのモデルを「コンサルティング」というのか、難しいところではありますが、口だけコンサルが売れる時代は、明らかに終わりを迎えています。コンサル業界で求められる人財も、大きく変わりつつあります。

今までは、ずば抜けた問題解決能力があればよしとされてきましたが、これからは解のない世界に解を作り出すことが求められる。だからこそ、「アグリゲーター人財」が重要なのです。

我々は自分なりのビジョン(目標)をまず持つことを重要視しています。与えられたテーマに向かって問題解決の方法を模索するというアプローチではなく、自分が主語となり「これをやりたい」という目標となるべき旗を立て、そこに向かっていく。そういうセンスと実行力を持つ人財に魅力を感じますね。

この手のセンスは、机上の空論ではなく、現場で経験を積むことで嗅覚が研ぎ澄まされていくもの。「次の社会はこうなっていく」という世界をしっかり見据えて、自分がやりたいことを提案し、実行できるようになることで、キャリアアップのチャンスが広がっていくと思います。

(聞き手:久川桃子、構成:工藤千秋、写真:福田俊介)