グーグル、稼ぐモードへ。4つの動向
2015/11/30
グーグルの親会社アルファベットの売上のうち89%が広告から。アルファベット体制になっても、依然としてグーグルの広告頼みは変わりません。
アルファベット体制おさらい
中核事業以外はグーグルから切り離され、アルファベット傘下で別会社として並ぶようになりました。
それぞれにCEOが設置され、独立性とリーダーシップを強めて、非中核事業のビジネスを成功に導くのが狙いです。
冒頭の売上構成比でもわかるように、当面、グーグルがアルファベットの大黒柱となり、ファミリーを支える必要があります。しかし広告だけでは限りがあるため、グーグルは売上拡大に向けて4つのコンセプトで動きを見せています。
それぞれの主な動向は以下の通りです。補足記事をPickしていますので、識者コメントも参考にしてみてください。
動向1:モバイルでの存在感強化
モバイル検索を順調に伸ばしているとは言え、油断できません。モバイルアプリ内の情報を検索対象にし、入り口はグーグルというスタンダードをつくろうとしています。
補足Pick
・Google、モバイル検索結果からインストールしていないアプリも使える「Stream」発表
・Googleの検索結果にiOSアプリのコンテンツも表示するように
・グーグルの「モバイル検索」をフェイスブックが後押し
動向2:有料課金サービス拡大
ユーチューブ、グーグル・プレイを土台に、ライバルを意識した従来のグーグルらしくないことに取り組んでいます。
補足Pick
・グーグル、国内でも音楽配信サービス「Google Play Music」–3500万曲、月額980円で
・YouTube Red は競合に勝てる? ネトフリ、Huluらと徹底比較
・「グーグルプレイ」、中国で来年立ち上げへ=関係筋
動向3:法人向けクラウド事業の拡大
今月、法人向けビジネス3部門の統合を発表しました。グーグルがもっとも期待する領域で、2020年には広告売上を越えると目論んでいます。
補足Pick
・米グーグル、クラウド事業をヴイエムウェア出身グリーン氏の下に集約
・「Google Apps for Work」の価格攻勢で巻き返しに出るグーグル–「Office 365」に対抗
・Google Apps for Workの有料企業ユーザが200万を突破、サードパーティアプリケーションの審査推奨制度をスタート
動向4:新興国ユーザーの取り込み
新CEOスンダー・ピチャイ氏の出身地インドをメインとする新興国ユーザー(グーグルの言い方では、Next Billion People)を対象に、これまで築いてきたビジネスモデルを再現しようとしています。
補足Pick
・Googleが17の国でのAndroidアプリとアプリ内購入の推奨最低価格を大幅に値下げ…薄利多売による市場活性化をねらう
・Google、新興国向け低価格スマホに再挑戦、Android Oneの条件を緩和(ニュース)
・グーグル、インドの400駅に無料Wi-Fiスポットを設置へ
・Alphabetの「Project Loon」、Wi-Fi気球の試験飛行をインドネシアで
ファミリーの大黒柱グーグル
アルファベットになって良かったのは、中核事業に絞ってスリムなったグーグルがシンプルに動ける点です。妹・弟が成長するまで、グーグル1社で何社も養っていくには、将来に不安がありました。
売上拡大のやり方が正攻法すぎて、グーグルらしい“面白み”を失っているようにも映りますが、それはアルファベット傘下の他事業に期待するものです。正式にグーグルがアルファベットの子会社になって2カ月経ち、新体制の良いところが徐々に見えるようになってきました。