村上絢氏が、強制調査の16日前に語った「投資哲学・父・金儲け」
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注目のコメント
みんな村上さんの肩持ってますけど、運用畑で彼と仕事で関わったプロ中のプロたちからの評判は「そのうち捕まるよね」みたいな感じでした。ガバナンスという綺麗事を錦の御旗にしつつ、裏側でやっていることはえげつなかった。そのえげつなさをガバナンスとか、金儲けは悪いことですか、といった言説にすり替えしているのはどうかと思います。行政の人々はいつも、市中のこういう行政悪者論に対して声を上げて反論せず、ぐっとこらえるものなので、それが理由にスケープゴートにされることが多く、やっている人たちは大変だなあと思います。
今回のが何なのかは分かりませんが。捜査前に、NP編集部・ロンジン椎名アナリストがインタビューしていた記事。記事は強制捜査前なので、そこの部分に集中してコメントする(報道が真実とすれば、記事の投資哲学や企業に対する見方と、実態としてやった短期と思われる両建や自社のコンプライアンスなど乖離していてが、いま議論してもしょうがなく、後年分かることだろう)。
「割安」が軸とのことだが、それは様々な観点がある。PBRやネットキャッシュも一つだが、事業によって適切な株主資本(Book)の大きさは異なる。割安判断は他にPER(利益に対しての割安度)もあるし、あとは成長性に対して割安という判断もある。そこでガバナンスの軸が入ってくると思うのだが、おそらく実態としては「資金活用ができていないという点でガバナンスが効いていないゆえに、割安な会社≒PBR割安なネットキャッシュが多い会社」というのが実際の投資ユニバースだと思う。そして簿価の蓄積は時間価値の蓄積でもある。
売却するのは「ガバナンスが効いたとき」という。ガバナンスが効けば、その後は長期的にリターン出せるはずじゃないのという突っ込みはしたい。そのうえでなぜガバナンスが効いたときにエグジットするのか?前述のような投資ユニバース・条件だから、ガバナンスが効き資金活用が出来ると、株主にリターンがもたらされるが、時間蓄積を一気に放出する(数万年単位で出来た石油を掘削するみたいなもの)わけで、その後は期間あたりの投資効率が悪化するから、エグジットするというのが実態だろう。
これ自体は、その通りだと思うし、そういう投資があって全く問題ないと思う。市場は色々な考え方がある場所。違和感を感じるというか、微妙だなと思うのだが、そこを「割安」という言葉や、黒田電気なら再編という言葉で「くるんで」、結局投資哲学がぼやけていること。その点、以前の村上ファンドの方がよっぽど一貫性があったし合理的な印象が個人的にはある。特に、短期志向が世間などに懸念されてプロキシファイトで不利になるなら、中長期で蓄積したキャッシュの放出がされるように設計・提案すればいいだけのことで、自己資産の投資なのだから、そこは時間軸を活用してその受益者となる自由も、今の村上ファンドにはあると思う。それをやらないのはもったいない…ファンダメンタルの投資家は、会社を売買対象の銘柄とした株屋の言葉ではなく、経営者の言葉で語らなければならないのだと思います。
アクティビストであるということは本来、会社の成長にコミットしていくことのはず。その実現方法として、顧客に対する短期間でのアカウンタビリティーを求められない自己資金での投資という座組は理にかなっているはずなのですが。
捜査の対象となっている取引の事実関係やC&Iの実態はわかりませんが、これによってアクティビストの存在を否定的に捉えるべきではないでしょう。
現代の渋沢栄一や、日本のバフェットのような投資家こそが必要なのだと思います。