2人の異色実業家、「日本のチャンス」を語る

2015/11/16
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたち。彼らは今、何に着目し、何に挑もうとしているのか。連載「イノベーターズ・トーク」では、注目すべきイノベーターたちが時代を切り取るテーマについて見解を述べる。
英会話から映画参入まで多彩な事業を圧倒的なスピードで展開するDMM.comの亀山敬司氏。一方の堀江貴文氏も、アプリ開発からロケット開発まで、手がけるビジネスの幅広さでは負けていない。常に時代の先を読んできた2人が次に狙うものは、果たして何か。
堀江氏はDMMの動画配信事業について、「(アダルトビデオの)ピンクオーシャン戦略は面白い」と評価する。それに対し亀山氏は、「実はアダルトのみならず、普通の映画配信もやりたかった」と裏話を語る。動画配信事業は今後、どのような進化を遂げていくのか。プラットフォームとコンテンツの関係はどうなるのか。2人が持論を展開する。
話は2人が出会った1997年にさかのぼる。石川県にあったオフィスにて堀江氏を迎えた亀山氏は「生意気な若者が来た」と感じた。一方、東京でビジネスを展開していた堀江氏は「地方に、こんなデカいことを言う人がいたなんて」と驚く。IT産業の黎明(れいめい)期、2人のイノベーターはどのような仕事をし、どう接点を築いてきたのか。
ライブドアのサービスを回顧する中で、堀江氏がこぼした一言。「(最初に海に飛び込む)ファーストペンギンは血まみれになるんですよ」。ブログにしてもFXにしても、最初に普及させたのはライブドアだが、その後のおいしいところは、すべて他社に持っていかれた、と。DMM FXを世界第1位に成長させた亀山氏は「ライブドアが切り開いてくれた道を使って、俺やクリック証券がうまくやってるんだよ」と苦笑いで応じる。
2人は今の日本市場に、どのようなチャンスを見出しているのか。VR(バーチャルリアリティ)を挙げる亀山氏と、ブロックチェーン・テクノロジーの可能性を語る堀江氏。技術とともに、投資の判断基準についても議論が交わされる。亀山氏は言う。「たぶん、俺と君とはスタンスが違うね。俺はどちらかというと、人を見るから」
最後に、亀山氏が切り出した。「『寿司職人に修業は必要か』というテーマについて、堀江さんのコメントを見たよ。いかにも君らしいと思った」。亀山氏は修業期間の重要性について、「その間に不条理に耐える力が身につく」と語る。それに対して、堀江氏からは意外な答えが返された。「亀山さん、実は僕だって修業してるんです」
(デザイン:甲斐琢巳/写真撮影:竹井俊晴/映像制作:古田清悟、久藤拓実、植田城維)