小泉玉塚バナー.005

人口減少社会に備えよ Part5

【小泉×玉塚】高齢者から若者へ財源シフト。どう合意形成するか

2015/11/13
人口減少が急速に進み、2100年には人口5000万人になると予測される日本。今年生まれる子どもが、平均寿命まで生きて2100年を迎えることを考えれば、自分の子ども世代のために、真剣に考えなければならない問題だ。
そこで今回、小泉進次郎衆議院議員とローソン玉塚元一社長が、政策面・ビジネス面から人口減少社会に対する処方箋を語り合った(全5回掲載)。(司会は読売新聞東京本社 調査研究本部 主任研究員の榊原智子氏)

第1回:私が「第1子からの支援」を訴える理由
第2回:ローソンはなぜ「健康コンビニ」を目指すのか
第3回:安倍政権の「第3子支援」は何が問題なのか
第4回:ワーク・ライフ・バランスは政治家に考えさせてはダメ

外国人労働者は不可欠か

質問者:医療関係者です。小泉さんにお聞きします。高齢者の増加で、医療の世界は圧倒的な労働力不足に悩んでいます。政府は人口減少を受け入れて政策を進めようとしていますが、外国から人間を入れて今の人口を維持する選択もあると思うのですが。

小泉:1億2000万人から1億人に減るわけですから、2000万人すべてを外国から入れるのはあり得ないです。だからこそ、人工知能、IoT(Internet of Things)、ビッグデータを活用しながら日本の生産性を究極まで上げる前向きな発想が必要です。

同時に、日本に魅力を感じて日本で働きたい、住みたいと外国人に思ってもらえるように、世界の人たちを日本に引きつける戦略も不可欠です。

玉塚さんのお話にもあったように、ラグビー日本代表は日本人選手、日本に帰化した選手、外国人選手で構成されていますね。彼らは日本の今後への示唆を与えてくれています。

榊原:玉塚さんは、ビジネスの現場にもっと外国人労働者を入れるべきだとおっしゃいました。

玉塚:ビジネスの現場に外国人労働者を入れていくのはいいと思います。諸外国と比べると日本は極端に外国人の比率が低いですし。

でも、日本が門戸を開けばいい人材が入ってくるほど甘くはありません。世界では人材の奪い合いが起きているのですから。

日本はすごく自分たち中心に考えている。外からの人たちを受け入れて、一緒に新しい社会をつくっていこうというビジョンをみんなで共有して謙虚に取り組まないと。

小泉:観光の分野では、日本に来る外国人観光客を2020年に2000万人にすることを目標にしていましたが、このペースだと今年で1900万人まで達成できそうです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックで世界中の人が日本に来てくれますが、それを機に、観光で終わらせず「日本に住みたい」と思う人たちをどうやって誘致するか。これが2020年以降の社会の鍵だと思います。

医療関係では、国家戦略特区で外国人医師が日本で活躍できるようにする取り組みが始まりました。これまでは国籍に縛られ、アメリカ人医師が日本で診察できるのはアメリカ人だけでした。こういう問題も一つひとつ変えていかなければいけないですね。
 小泉5K4A5358_w600px

高齢者は高齢者じゃない

質問者:小泉さんにお聞きします。第1子支援に大賛成ですが、財源は高齢者のところからシフトしなければいけないですね。選挙などでこれを政治家がちゃんと言えるのかが気になります。

また玉塚さんにお聞きします。高齢者が元気で働ける社会を、とお話がありましたが、何歳までを雇用できると考えていますか。

小泉:高齢者の負担が増えることで、大きな反対が起こることは目に見えています。でもやらなければいけない。受け入れてもらうために、どうすればよいかを考えるのが政治家の役目です。

私が必要だと思うのは、「高齢者は高齢者じゃない」という発想です。65歳からは高齢者だと言われますが、働ける人には働いてもらいたい。高齢者は社会保障の給付を受ける側だという発想を転換し、年金の一本足打法ではなく、年金プラス自分たちで稼ぐ老後をつくることを考えたいですね。

高齢者へ職業あっせんを行うシルバー人材センターを例に挙げると、これまでは週20時間までしか働けませんでしたが、国家戦略特区の改正法案で40時間に緩和しました。民間企業にも、定年退職した人の能力をどう生かすかを考えてもらいたいです。

玉塚:私は、75歳でも元気に働ける社会がいいと思います。同時に、若い人のことも考えなければいけません。若い人の活躍も必要です。ライフプランを3つぐらいのステージにする必要があるかもしれません。働きたい人が働ける環境を整備することが必要ですね。

「世代コンビニ」というアイデア

小泉:玉塚さんのお話を聞いて思いついたんですが、高齢者が働いて高齢者が好む商品を売るローソンはどうですか。名づけて「シルバーローソン」。私は行ってみたいですね。高齢者はどういうものを好むのかと。

玉塚:小泉さんはお若いのでまだわからないでしょうが、「俺は高齢者じゃない!」という人が多いんですよ(笑)。私なら行かないですね。

でも実際に、埼玉県川口市の店舗で、介護の相談窓口をつくって大人用おむつや和菓子などを扱う取り組みも始めました。たしかに高齢者のお客さんが増えています。高齢者の意識は人によって全然違うので、あんばいが難しいです。

小泉:世代コンビニ、いいと思いますけどね。

玉塚:第1子応援コンビニはどうでしょう。男女の出会いのスペースを設けて、フリードリンクにして。これ、シルバーローソンより売れますよ。

榊原:東京など大都市圏にいいですね。高齢者については丁寧な議論が必要です。

海士町(あまちょう)の話は素敵だと思いました。町長や職員が自分の給与を削ったら、高齢者のほうから自分たちも削ってと言うなんて。どこにでも当てはまるわけではないでしょうが、地域からそういう流れがつくれたらいいですね。日本の高齢者に希望を見る気がしました。

小泉:日本で最も合計特殊出生率の高いところをご存じですか。鹿児島県徳之島の伊仙町ですが、なんと2.8なんです。3.0を目指しています。

ここは今まで、敬老の日に高齢者にお祝い金を出していた。あるとき一人のおばあさんが「町長さん、こんなお金があるなら若い人に使ってくれないか」と言ったんです。驚いて他の高齢者にも聞くとみんなが賛成だと。

そこで高齢者のお祝い金のすべてを少子化対策に充てることができたんです。こういったサイクルが次々に生まれてくるといいですね。

いつも考えるのが、私のような若者が、若者のためになることを訴えることが世論の合意形成にプラスになるのかということです。だから第3子をもっている玉塚さんが第1子支援をやるべきだと言ったり、高齢者が若い人にお金を使ってくれと言ったりすることは大切ですね。

世代間は対立するのではなく、考えの違いを議論でオープンに出して、互いの違いをわかったうえで次のステージにつなげるべきです。
 玉塚5K4A5377_w600px

会場は第1子支援に大賛成

玉塚:私は国家戦略特区の取り組みはいいと思うんですよ。いろんなことを、スキームを変えながら具体的にやってみて、結果を全国に広げていく。

榊原:特区の取り組みは東日本大震災の被災地がいいと以前から思っていました。産業がなくなって、人口減少と少子化が急速に進んでしまった地域ですから。

小泉:被災地で新しい取り組みをするのは価値がありますね。仮に第1子支援の方向性をつけるとしたら、しっかり議論して、ある程度世論の理解を得なければいけません。

せっかくだから今日ここにいる皆さんにお聞きしますが、第1子支援に賛成の方はどれぐらいですか。(会場の大多数が挙手)

びっくりですね。どうして国会では受け入れられないんだろう。

榊原:ここに来ている皆さんは、危機感と問題意識を持っているから、小泉さんや玉塚さんの話がスッと入ってくるんでしょうね。

(構成:合楽仁美、撮影:福田俊介)

*本稿は10月5日に開催された日本再建イニシアティブ(RJIF)主催のセミナー「『5000万人国家』の衝撃!人口減少がもたらす社会とビジネスへのインパクト」の内容を再編集したものです。