スキンヘッドでナチス扱い。ヤンカーが苦しんだ憶測報道
2015/11/12, NewsPicks編集部
メディアコーチの教え・後編
スキンヘッドでナチス扱い。ヤンカーが苦しんだ憶測報道
2015/11/12
サッカー界におけるメディアトレーニングを語るうえで、欠かせない人物がいる。元ドイツ代表のカルステン・ヤンカーだ。
ヤンカーは2002年W杯の準優勝メンバーで、バイエルンの主力FWとしてチャンピオンズリーグ優勝を果たすなど、素晴らしい実績を残した選手だ。しかし、ドイツメディアの報道に苦労させられたことがあった。
スキンヘッドに対する先入観
その発端は、彼の容姿にあった。
青い目、身長193センチメートル、体重92キログラムの大柄な体格、スキンヘッド(元は金髪)……。ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)がゲルマン民族男性のお手本とした容姿である。
そのため、右翼的な思想を持つサポーターが彼のことを気に入り、スタジアム内で「カルステン・ヤンカー、わが総統」と叫ぶことが頻繁に起きるようになっていた。
反論しなかったためうわさが拡散
当初、ヤンカーはこのような声をまったく気にせず、反論しなかったため、いつのまにか「本当に極右主義者らしい」といううわさがドイツ中に広まってしまった。
バイエルンから「ドイツではスキンヘッド=右翼というイメージがあるから、髪を伸ばしたらどうか」とアドバイスを受け、実際にそうしたことがあった。しかし、一度定着したイメージを変えるのは難しかった。
最初はビルト紙など大衆紙が騒ぎ、次第に高級紙やテレビまでもが「ヤンカー=右翼主義の選手」というレッテルを張るようになった。
番組で反論も焼け石に水
ヤンカーはドイツで最も伝統のあるスポーツ番組「das aktuelle sportstudio」に出演し、はっきりと「自分は右翼と無関係である」と表明したものの、もはや焼け石に水。
現在でも検索サイトで、ドイツ語でヤンカーと入力すると、オートコンプリート機能で「右翼」という言葉が出てくる。
右翼思想のサポーターの声を大衆紙が「使えるネタ」として取り上げたことが原因で、ヤンカーに非はない。しかし、被害を被るのは本人だ。早い段階でしっかりと反論しておくべきだった。
落選させた代表監督に復讐
ヤンカー自身も2000年に騒動を起こしてしまっている。
当時バイエルンの最大のライバルであったレバークーゼン戦でのことだ。ヤンカーは得点を決めると、相手監督のベルティ・フォクツの元にすごい形相で駆け寄り、指を突き出して汚い言葉でののしった。
これはフォクツがドイツ代表監督であった際に、ヤンカーを1998年W杯のメンバーから外したことが遠因になっている。ヤンカーはその屈辱を忘れておらず、怒りを爆発させたのだ。
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