【第4回】六本木グランド・ハイアットで300万ドルの契約金を受けた金融犯罪者
2015/10/30, NewsPicks編集部
【第4回】六本木グランド・ハイアットで300万ドルの契約金を提示された金融犯罪者
2015/10/29
アメリカの弱小監督機関が見抜いた不正
2008年4月の季節外れに寒い朝、ビンス・マクゴナグルは、ワシントンの米商品先物取引委員会(CFTC)に出勤すると、新聞各紙を読み始めた。マクゴナグルはCFTCのエンフォース(法執行)部門に12年勤めるベテランで、シニアマネージャーの地位にあった。
その日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)の1面には、「主要金利に金融関係者が疑念」という見出しが躍っていた。
「国際金融の健全性を示す最も重要なバロメーターの一つが、実勢を反映していない可能性がある。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は、ロシアの石油生産者からデトロイトのマイホーム所有者まで、世界中のローン利用者に影響を与える金利だが、金融マンやトレーダーの間では、LIBORの信頼性が低下しているという懸念が広がっている」
さらに記事は、銀行は「短期資金の調達に必死になっており、その市場を崩壊させるような」事態を避けるために、意図的に低い予想貸出金利を申告している可能性があると書いていた。
newspicks.com
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
注目のコメント
ストーリーが核心に入ってきました。日本の金融庁も、実効性に乏しい形式だけの手続きの監視よりも、マクゴナグルのように大きなストーリーを見抜く事に注力してほしい。
金融は信頼の上で成り立つ。LIBORはLondon Interbank Offer Rate。そしてロンドン証券取引所にある言葉は、何回かコメントしている自分が大好きな言葉「My word is my bond(私の言葉は、私の約束)」。
LIBORは、ITがこんなに発達する前の昔からずっとある指標。それゆえ、そのプロセスもこのようなものだったのだろう。一方で、昔からあるからこそ、金融商品の多くが<LIBOR+α>みたいな設計がされているほど浸透している。
なお、LIBOR不正を受けて、NYSE Euronextに算出主体が変わり、NYSEをICE(Inter Continental Exchange)という金融商品取引所が買取った(①)。そして有料化したことを受け、また透明性などを公的に担保したほうがいいという意図もあろう、米FRBがLIBORに変わる指標を開発しているという報道が昨年出ている(②)。
『LIBORは、その動向に直接的な利害関係のあるトレーダーが、実勢金利を正直に申告してくれることを前提としたベンチマークだった。』
①https://newspicks.com/news/572045?ref=user_100438
②https://newspicks.com/news/604389?ref=user_100438ヘイズの不正を疑ったあたりの描写がいくら何でもできすぎて脚色しすぎじゃないかw
ただし、商品先物市場の監督機関が自らの縄張りを広げる好機、というのはいかにもアメリカの官僚らしい発想。
お互いに緊張感があり不正を見抜くモチベーションになる。足の引っ張りあいリスクもあるけど。
この記事の著者 / 編集者
この連載について
新着オリジナル記事
配信メディア
今日のニュース
- 180Picks
- 109Picks