亀山ドガバナー.004

アフリカ市場を攻略せよ 第4回

【亀山敬司×牧浦土雅】アフリカビジネスは「対政府」にチャンスあり

2015/10/30
DMM.comの次の目標を「アフリカへの進出」と定め、手を挙げた社員をアフリカに送り込んだ亀山敬司氏。ルワンダで農業・流通などのビジネスを展開する、牧浦土雅氏。異色の起業家2人が、アフリカのビジネスチャンスについて語り尽くす。
第1回:死んでも文句言わないようなやつだけ、アフリカに行かせた
第2回:ルワンダを選んだからこそ、希少価値につながった
第3回:海外に行っても帰国前提の日本人。それでは成功しない

水性ペンキでバスを塗装する適当さ

牧浦:空港で思い出しましたけど、やっぱり日本とアフリカの距離を近づけるには直通便を増やすことが第一で、僕も将来的には航空会社に関わりたいですね。

亀山:実は俺も、スカイマークがやばいときに、どさくさ紛れにDMMエアラインにしてしまおうと思って、動いてみたんだよね。社長に連絡したかったんだけど、直通番号がわからなったから、とりあえず代表番号に電話してみた。

すると「◯◯の方は1番、◯◯の方は2番、その他のお問い合わせは9番」という自動音声が流れたから、「その他のお問い合わせ」を選んで「社長に会いたいんだけど」といったら、すぐに秘書から電話がかかってきたね。残念ながら社長には会わせてくれなかったけど。

でもアフリカなら、どさくさでできちゃうかもしれないよね。機体にペンキで勝手にDMMのロゴを描いちゃうとか(笑)

牧浦:思い出したんですけど、DMM.com証券のFX取扱高が1位だったのに、最近GMOに抜かれて2位に落ちたじゃないですか。すると、渋谷のTSUTAYAに掲げられていた「世界No.1」という看板が、上から「1」の文字だけ塗りつぶされて「世界No.2」となっていた。あれを見て、DMMには結構アフリカの血が入っていると思いました(笑)

亀山:「2位転落」もネタにしちゃえと思ったんだよね(笑)

牧浦:半年ぐらい前にタンザニアの都市ダルエスラームで、新しいバスの新作発表会を見に行ったときもそんな感じでしたね。最初はピカピカの黄色いバスが出てきて、すごいと思っていたら、途中から雲行きが怪しくなって雨が降り出した。すると、黄色の塗装が剝がれて、白いバスになっちゃった。水性ペンキだったんですね。これを見ても周囲の人々は怒らずに、「おもしれえな!」と盛り上がった。ああいう適当さがいいと思います。

亀山:そう、だから真面目な会社はなかなか合わないところがあるよね。うちもとりあえず、「安全は保証しないけど行ってこい」「万が一死んだら香典を多めに包んでやる」といって社員たちを送り出したからね。

今回のアフリカ行き人材の募集には、社内のいろんな部署から応募があったよ。みんな日本じゃ面白くないと、どこかで感じていたんじゃないかな。だから、俺にできることは、そういうやつらの背中を、ちょっとだけ押してやることなんだ。うちは鈍感力のあるやつが多いから、たくましくやってくれると思うよ。

タンザニアのダルエスサラーム

タンザニアのダルエスサラーム

「やる」と宣言すれば、ネタは集まってくる

亀山:NewsPicksとかで「DMMはアフリカビジネスをやります!」と宣言すると、結構、内外から「うちと組みましょう」「こういうやり方があります」とネタが集まってくるんだよ。宣言した時点では何も考えていなかったのにね。とりあえずやると言ったところには、情報が集まるんだ。もし医療系の提案がくれば医療系をやるし、不動産の提案がくれば不動産をやる。それくらいに考えてる。

牧浦:ちなみにアフリカに送り込まれたDMMの人から、僕のところに連絡が来ましたね。「まず、どこに行ったらいいんですか?」と。

亀山:そんなに早く、人に助けを求めるやつはダメだな(笑)ググって勝手に調べてほしいね。今回だって、ナイジェリアから入ったやつもいれば、南アフリカから入ったやつもいる。とにかく徒党を組むな、散って行動しろと思うよ。

牧浦:ケニアやナイジェリア、南アフリカみたいに、比較的メジャーなところじゃなくて、ボツワナや島国みたいに、全然知らないところに行った方がいいかもしれませんね。

亀山:そう。俺もジンバブエに行って驚いたよ。あそこは経済破綻して、自国の通貨がダメになってるじゃない。でも米ドルが流通しているから、両替の手間が省けて逆に楽だったりする。ゴミになったジンバブエドルを何億と持ってきて「これ、おみやげに買ってくれ」というのも、たくましくていいよね。

アフリカといっても50カ国もあるから、一口には語れないよね。かつてフランスの植民地だった西アフリカの国のなかには、今でもフランを使っていて、紙幣の印刷をフランスに頼っている国もあるという。フランスを怒らせたら通貨が止まってしまうから、いまだに頭が上がらないらしいんだよね。

牧浦:ルワンダももともとベルギー領で、公用語はフランス語だったのですが、2000年から現職のカガメ大統領がフランスと仲悪くなって、2008年に公用語が突然英語になりました。すると、学校教育も英語で統一せよというお達しが出され、現場は大混乱です。地方の先生は英語なんか話せないし、カリキュラムも試験も全部英語になってしまうわけですからね。

ただ、混乱があるところにはチャンスもあるわけで、こうした状況が、逆に部外者にとっては都合よかったりする。

亀山 敬司 株式会社DMM.com 取締役会長 石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT、太陽光発電、FX、英会話、3Dプリントと節操なく事業展開をする実業家。めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎に包まれている。

亀山敬司
DMM.com取締役会長
石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT、太陽光発電、FX、英会話、3Dプリントと節操なく事業展開をする実業家。めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎に包まれている

規制がない分、新サービスが一気に普及する

亀山:向こうであった日本人に、何でも屋のような人がいたなあ。最初は中古車の輸入から初めて、カジノ経営や金の掘削に手を出し、最近では水力発電事業もやっている、と。日本だったら水力発電なんてできないよね。

牧浦:日本では規制があったり、強力なプレーヤーがいたりして参入できない領域でも、アフリカでは可能性がある。

日本で自動運転の開発が進んでいますけど、研究者やメーカーは、規制なしで10km走れるところを見つけられずに悩んでいます。アフリカだったら、100km以上、何もない道がありますからね。

亀山:意外とそっちのほうが、実験するにはちょうどいいかもしれないね。アバウトな分、研究のスピードも早いかもしれない。UberやAirbnbも日本だったら規制でバタバタしているけど、アフリカだとルールがないぶん、一気に普及しやすいんだよね。

日本でビジネスをするときにBtoBとかBtoCとか言ってるけど、アフリカはそんな時代じゃない。BtoGの時代なんだよ。ガバメントのG。アフリカでは20代、30代のやつが政府を巻き込んでデカいプロジェクトができる。日本だったらよほど財界の大物にならないと、政府を動かすことなんてできないよね。

ちっちゃな俺も、そっちに行ってガバメントとつながったほうが面白いと思ったわけ。ちょうど、日経新聞が相手にしてくれないから、NewsPicksに行くようなものだよね(笑)。新興勢力に行ったほうが、何かと早いんだよ。

牧浦土雅 Needs-One Co.,Ltd. 共同創業者 1993年生まれ。東アフリカ、主にルワンダで国連と一緒に農村と市場をマッチングする事業をけん引。TED『世界の12人の若者』、NewsPicks Paper『40歳以下の日本人イノベーター』に選出。輸送用ドローンを開発するベンチャー立ち上げの経験を生かし、内閣府では、国家戦略特区でのドローン利活用についても議論を重ねている。最近では新たに教育サービスの世界展開にも従事。著書に『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性』(DBS社)がある。

牧浦土雅(まきうら・どが)
Needs-One Co.,Ltd.共同創業者
1993年生まれ。東アフリカ、主にルワンダで国連と一緒に農村と市場をマッチングする事業をけん引。TED「世界の12人の若者」、NewsPicks Paper「40歳以下の日本人イノベーター」に選出。輸送用ドローンを開発するベンチャー立ち上げの経験を生かし、内閣府では、国家戦略特区でのドローン利活用についても議論を重ねている。最近では新たに教育サービスの世界展開にも従事。著書に『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性』(DBS社)がある

(構成:野村高文、撮影:遠藤素子、協力:DMM英会話)

続きは明日掲載します。

*本対談はDMM英会話との連動企画であり、本編終了後には「裏・アフリカ対談」が同社公式ブログに掲載予定です。