亀山ドガバナー.002

アフリカ市場を攻略せよ 第2回

【亀山敬司×牧浦土雅】ルワンダを選んだからこそ、希少価値につながった

2015/10/28
DMM.comの次の目標を「アフリカへの進出」と定め、手を挙げた社員をアフリカに送り込んだ亀山敬司氏。ルワンダで農業・流通などのビジネスを展開する、牧浦土雅氏。異色の起業家2人が、アフリカのビジネスチャンスについて語り尽くす。
第1回:死んでも文句言わないようなやつだけ、アフリカに行かせた

「自分のため」が最終的に日本のためになる

亀山:ちなみに、アフリカには最初、どういうきっかけで行ったの?

牧浦:もともとはe-Educationという教育NPO団体の活動でルワンダに行きました。ところが現地を見ているうちに、教育よりも、生きていく上で不可欠な食料や農業の分野に可能性があると思った。そこで国連と一緒にジョイントベンチャーを立ち上げ、商社の原型のようなことをやったんです。

アフリカって飢餓や食糧不足のイメージが強いかもしれませんが、意外に地方に行くと農作物は余っているんです。けれども都市部では、食料が必要以上に輸出されたために不足していて、かつ難民も流れてきている。そこで、地方から都市へと食料を運び、両者をマッチングするという事業です。

最初は必要な資金を銀行から借りようとしたところ、「ルワンダ人じゃないとダメ」と言われた。「なんだよ、そういうところだけちゃんとしているのか」と憤慨したのですが(笑)、気を取り直して、信頼できるルワンダ人の共同創業者を見つけ、彼に借りてもらいました。そこから、彼の親類のルーツがあったウガンダや、エチオピア、コンゴ、タンザニアにも展開していきました。

もちろん、最初は販路もなかったし、「そもそも地方では農作物が余っている」という事実すら知られていなかったので、その事実を国連に周知するところから始めました。最近では、世界銀行など、大きな国際機関も巻き込んで取り組めるようになりました。

亀山:そうした事業をやりたいと思ったのはなんで?

牧浦:誰でも簡単にできそうなのに、誰もやっていなかったから。穴の横にぴったりはまる石が落ちているにもかかわらず、穴が放置されたままだった、みたいな。

その光景を見たら、理屈抜きでやりたくなりました。当時はまだ17歳で、良い意味で世の中に対する偏見がなかったことも大きいですが。

亀山:17か。若いね。

牧浦:今では「われわれが入って、現地の人は幸せになっただろうか」とか、いろいろと考えるのですが、当時は完全に勢いでしたね。

亀山:でも、やりたいと思ったなら、やってみてよかったんじゃない。この前、「私、ボランティアやってるんですけど、ひどい目にあったんです」って言ってくる女の子がいたんだよ。話を聞くと、海外ボランティアに行ったところ、全然現地の人に感謝されなかったらしい。

それを聞いて思ったね。自分がやりたくてやってるんだから、感謝してもらわないと納得いかないのは、ちょっと違うんじゃないの、と。自分がやっていることなんか、良いほうに向かっているかさえわからないことがほとんどなんだから。

牧浦:そう。結局は自分が満足できるかですよね。

亀山:だから、俺もアフリカでビジネスをやりたいと思ったのは、あくまでも自分の将来のため。でも、それが社員のチャンスにもつながって、アフリカで雇用を生み出し、結果的に日本のためになるかもしれない。そんなもんだと思うよ。

ルワンダの農業組合長と牧浦氏。トウモロコシ20トンの受け渡しで合意した

ルワンダの農業組合長と牧浦氏。トウモロコシ20トンの受け渡しで合意した

できるだけヤバいところに行け

亀山:ただ、今回は最初から「ビジネスチャンスを見つけてやる!」と息巻いて行ったわけじゃない。好きで旅をするのはいいけど、仕事で飛行機に乗るのは面倒くさいもん。

本当はミャンマーに行こうと思ったけど、「今は雨期ですから」と旅行会社の人に言われて、「じゃあ、アフリカでいいや」と決めたぐらいだから。「アフリカにチャンスがあるぞ」と気づいたのは偶然だね。

牧浦:僕は逆に、昔からずっと新興・途上国で足を動かしたい、と思っていました。僕の恩師の藤原和博先生に「アフリカはいいよ」と言われていましたし、日本人がほとんどいないことも魅力でした。

僕が最初にビジネスを始めたのは2011年ですが、同時期に震災復興に関わっても、まず注目されないじゃないですか。でもルワンダだと、ニッチな存在として目立つことができる。

すると、日本人というだけでルワンダの高官に会わせてもらえるなど、チャンスが回ってくるんです。サウナで裸になっているときに話しかけられたら、相手が教育省の副大臣だったことも。

亀山:そういうところのほうが、自分のポジションが明確になり、付加価値がつく。たとえば、DMM英会話の担当者には悪いけど、今さら英語を勉強しているようでは遅いよね。スワヒリ語みたいな、もっとマイナーな言語を学ばなきゃ。

牧浦:2050年には世界の人口の4人に1人がアフリカ人になるのだから、5年後10年後ではなくて、今、進出して先行プレーヤーになるべきかもしれないですね。でないと、市場の成長スピードに追いつけないと思います。

亀山:そういうことは新聞にも雑誌にもいっぱい書いてあるんだけど、実際に行く人は少ないよね。だから今回、英語ができるかどうかに関係なく、手を挙げた社員を送り込んだ。俺は年だからもういいけど、若いやつらはこんなチャンスを生かさない手はないよ。

「どこへ行けばいいんですか?」と聞いてきたやつには、「できるだけヤバいところに行け」と答えた。そのほうがビジネスになるだろうし、生き残ればアフリカ王になれるかもしれないから。

亀山 敬司 株式会社DMM.com 取締役会長 石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT、太陽光発電、FX、英会話、3Dプリントと節操なく事業展開をする実業家。めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎に包まれている。

亀山 敬司
DMM.com 取締役会長
石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT、太陽光発電、FX、英会話、3Dプリントと節操なく事業展開をする実業家。めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎に包まれている

孫さんがインドなら、俺はアフリカまで飛び越えちゃおう

牧浦:僕の知り合いにヨシダナギさんというきれいな女性カメラマンがいるんですけど、彼女はエチオピアやケニアなどで裸族の写真を撮っています。

で、対象に近づくため、彼女自身も全裸になって一眼を持っているんです。すると、向こうに「仲間だ」と思ってもらえて、写真を撮るのも許してもらえるそうです。

亀山:その子はまだアフリカにいるの? やっぱりもう1回行こうかな(笑)。

牧浦:まだいます(笑)。向こうに行くと気持ちが大きくなるから、現地の人に脱げと言われたら脱いでしまうそうで。

亀山:確かにね。俺も大自然の中にいたら、外で全裸シャワー浴びたいなあ。あー、気持ちいい、と思いながら。

牧浦:社員の方が日本に帰ってきたら捕まるかもしれませんよ(笑)。公道で脱いで、「あ、ここ日本だった」と気づいて。

亀山:大丈夫、うちの会社なら、そういうやつでも受け入れるから(笑)。でも、それくらいやってほしいよね。それくらいのめり込んで初めて見えてくるものがある。

牧浦:わかります。アメリカのことはニュースでわかるけど、アフリカのことは日々変わっているから、断片的な話すら信用できない。結局は現地に行って、現地の人の言葉を信じるしかないんですよね。それを積み重ねるうちに、「あの国ならあいつに聞くしかない」と、希少価値につながります。

亀山:DMMでもちょっと新しめの事業をやると、これまでDMMには近寄りたくないと思っていた人たちも、「しょうがないから聞きに行こう」となる。だから、「アフリカのことだったら俺に聞け!」と言えるようになれば、日本でもいい顔ができるよね。

牧浦:商社もDMMにコンサルを頼むかもしれませんね(笑)。

亀山:社員に「とにかくヤバいところに行け」といったのも、それが理由なんだよね。日本人が行きにくい国のことなんて、誰もわからないから、そこにチャンスがある。今からアジアに進出しても遅いよね。孫(正義)さんがインドって言うなら、俺はアフリカまで飛び越えちゃお〜と(笑)。

牧浦土雅 Needs-One Co.,Ltd. 共同創業者 1993年生まれ。東アフリカ、主にルワンダで国連と一緒に農村と市場をマッチングする事業をけん引。TED『世界の12人の若者』、NewsPicks Paper『40歳以下の日本人イノベーター』に選出。輸送用ドローンを開発するベンチャー立ち上げの経験を生かし、内閣府では、国家戦略特区でのドローン利活用についても議論を重ねている。最近では新たに教育サービスの世界展開にも従事。著書に『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性』(DBS社)がある。

牧浦土雅(まきうら・どが)
Needs-One Co.,Ltd.共同創業者
1993年生まれ。東アフリカ、主にルワンダで国連と一緒に農村と市場をマッチングする事業をけん引。TED「世界の12人の若者」、NewsPicks Paper「40歳以下の日本人イノベーター」に選出。輸送用ドローンを開発するベンチャー立ち上げの経験を生かし、内閣府では、国家戦略特区でのドローン利活用についても議論を重ねている。最近では新たに教育サービスの世界展開にも従事。著書に『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性』(DBS社)がある

(構成:野村高文、撮影:遠藤素子、協力:DMM英会話)

続きは明日掲載します。

*本対談はDMM英会話との連動企画であり、本編終了後には「裏・アフリカ対談」が同社公式ブログに掲載予定です。