なぜ夫婦は憎しみ合うのか
2015/10/15, AERA
どうして夫婦はこんなにもすれ違い、争うのか。妻たちは、家事をしない夫に日々ストレスを感じ、夫はそれに気づいていない。イクメン気取りの夫たちよ、そろそろ気づかないと妻の怒りが爆発する!
夜9時半。都内の金融機関に勤める女性(40)が5歳の息子とやっと食卓につき、みそ汁に口をつけたときだった。玄関のドアが開き、いつもより早く夫(42)が帰ってきた。スーツの上着を肩にかけ、赤ら顔とゆるんだネクタイ。もともと太りぎみの体は最近メタボが進み、いっそう暑苦しい。ダイニングに入るなり、息子にこう言い放った。
「早く寝ろ〜。もう9時半だぞ」
平日に父子が顔を合わせるのは数カ月ぶり。言葉は宙に浮き、息子はキョトンとした顔。この噛み合わなさに、ふつふつと怒りがわく。夫は分刻みの母子の日常を知らないのだ。
女性は夜7時45分を回ると仕事を放り出して会社を飛び出し、保育園で保育士に頭を下げて、最後の1人になった息子を迎える。後ろめたさから、コンビニで息子がねだるアイスを買ってやり、家に着くと8時半。子どもと一緒に急いで風呂に入り、洗濯機を回す。パジャマに着替え、晩ご飯の準備を始めるのが9時。週末に実家の母が持たせてくれた「にんじんの肉巻き」を温め、冷奴と10分でつくった炒め物、みそ汁を食卓に並べる。夫が帰宅したのは、洗濯物を干し、やっと食べ始めた時だ。
手を動かさず正論
9時半帰宅ということは、飲み会は7時頃始まったはず。そもそも夫が保育園に迎えに行ってくれれば、晩ご飯がこんなに遅くはならない。夫は管理職で、時間の融通は利きやすいはず。嫌がらせのつもりなのか。
「この状況を見てわからないわけ!?」
バーンと食卓を叩いて立ち上がった妻に、夫も応戦する。
「子どもは早く寝かせるのが当然。明日も保育園があるんだろ」
出た! 手を動かさないくせに正論ばかり。言葉が荒れてくる。息子は「また始まった」という顔で、黙々と晩ご飯を食べ続け、終わるとそっとリビングのテレビに向かった。
夫とは社内結婚で、同じ部署の先輩後輩だった。結婚直後はトイレ掃除や食器の片づけをしてくれたのに、出産後、夫婦関係がこじれ、徐々に夫は家のことから遠ざかった。今や妻がクタクタで皿を洗っていても、「大変だね」のひと言もない。
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