米国経済を鍛え上げたERISA法(前編)幾多の困難を乗り越え米国は年金運用を国家戦略とした
ダイヤモンド・オンライン
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年金運用は、国家戦略である。
休み明けにいかが。
年金基金という国民資産の扱いに関わる極めて難しい課題について、多くの困難を伴いながらも明文的に規定し、これに正面から取組むことを促進した結果、エリサ法は次の3つの点で大きな役割を果たした。
(1)受認者の義務(fiduciary duty)を明示し、具体的には①厳しい受認者に係る規定(プルーデントマン・ルール)と、②モダンポートフォリオ理論の展開促進(投資の分散等)により、資産運用(金融)業務を鍛え上げた。
(2)それに取り組む中で、受給者のための年金資産の価値向上は、資本市場および産業・経済の成長(米国経済の強化)にこそ、その源泉を求めるべきであるとの本質的視座を獲得し、資本市場や経済の成長のためにいかに貢献すべきかを考え、行動を始めている。具体的には、①コーポレート・ガバナンス、②効果的な産業金融の提供、などにより企業の経営効率化の向上、企業価値向上への意識付けを徹底し、米国企業を鍛え上げた。
(3)投資分散の副産物として、企業に対して潤沢なエクイティ資金を提供し、産業金融機能を担うこととなった。特にVC(ベンチャー・キャピタル)ファンドを通じた未公開企業への投資は、新時代の技術・サービスがビジネスとして成長することに大きく貢献し、またPE(プライベート・エクイティ)ファンドを通じた投資は産業の再編を促進している。さらにIPOなど市場投資による資金的リソースの配分をも通じて、産業構造の変化、産業全体での成長分野へのシフトを円滑なものとし、米国産業・経済を鍛え上げた。
本稿は、以前、日本のGPIF改革について与党に申し入れた際の基礎資料の一つ。