ビジュアル・ストーリー
狙いは宇宙。ジェフ・ベゾスら大物が出資するスタートアップ「Rescale」とは
2015/9/30
ヴァージン・グループ創業者リチャード・ブランソン、ジェフ・ベゾス、ピーター・ティール、彼らをはじめ、名だたる人物が投資家として名を連ねるスタートアップがある。Rescaleだ。
現在、Rescaleのサイト上で公開されている出資者リストには、37人の名前が載っている。中でも上に挙げたのは、その先見性に定評がある人物たちだ。なぜ、彼らはRescaleに注目したのだろうか。
ポール・グレアム、サム・アルトマンといったYコンビネーター(YC)関係者、YCの養成プログラム出身者たち、YCに関係が近いティール、ロン・コンウェイについては、まだ説明がつく。Rescaleは、YCの2012年養成プログラムに参加していたからだ(それでもこれらのメンバーを惹きつけるのは並ではないのだが)。
それよりも興味を引くのは、ブランソンとベゾスの2人だ。彼らの名がここに並ぶ理由は、Rescaleのサービス内容を知ることでわかる。Rescaleの概要と創業ストーリーをまとめたのが次のスライドだ。
創業者の2人がボーイングで実現したコスト削減、開発期間削減と同じレベルのことが、クラウド上で、従量課金で行えるのならば、大きな意味を持つ。
「ソフトウェアの会社ではない」からと、ボーイングで彼らのシミュレーション・ソフトウェアの標準化はかなわなかった。新しいテクノロジーはこのようなスピンオフから生まれることがある。
2人の狙いは宇宙
ブランソンは航空事業に加えて宇宙事業、ベゾスは宇宙事業を見据えての投資であると考えられる。ブランソンはヴァージン・ギャラクティック社で商業宇宙旅行に挑んでいる。
一方、ベゾスもブルー・オリジンを設立し、ロケット製造拠点などに新たに2億ドルを投じると、報道があったばかりだ。
・ベゾス氏が宇宙投資拡大、フロリダにロケット製造拠点など建設へ
Rescaleの日本展開
この記事を書くために情報収集を進めていたところに、折しも伊藤忠テクノソリューションズがRescaleと販売代理店契約を結んだとの発表があった(今月11日)。
日本企業での導入を考えると、セキュリティやカスタマイズ規模がハードルになりそうだ。失うものが少ないほど、導入に前向きになれる。宇宙事業や自動車、製造業への新規参入を考えている企業にいいサービスなのでは。(文中敬称略)
(文・ビジュアル:櫻田 潤)