パッションは、「心の穴」と「傷痕」から生まれる

2015/9/21

情熱の源泉は幼少期の「心の穴」

柿内(芳史、編集者) 前回、経営者やリーダーには根底にパッションが必要だというお話がありましたが、パッションというのは、いつ、どんなふうにして生まれるものなのでしょう。
佐藤 そうですね。私はともかく、まわりの経営者たちを見ていると、子どもの頃に感じた「心の穴」みたいなものを埋めようとしている気がする。それがパッションじゃないかと思ってるんですよ。
逆に言えば満たされた環境で生きてきた人たちは、パッションは持ちえないんじゃないかな、と。だから穴の大きさそのものが、パッションの量とか規模なんじゃないかなという気がしますね。
すべて満たされていて完璧なんだけども、さらに何かほしいという人たちをあまり見たことがない。いろいろ掘り下げてみると、何か足りないものがあったり、何かを背負っていたりする。やっぱり幼少期の経験や、生まれた背景なのかなと思います。
竹中 なるほどね。
佐々木 それでいうと、佐藤さんの「心の穴」は何ですか。
佐藤 そうですね。やっぱり自分が他人とどう違うのかとか、そもそもなんでこの世界に生まれてきたんだっけ、という答えを探しているのかもしれません。
たぶん、本来であれば「生まれてきてよかったね」で終わり。でもそこがまだわからなくてあがいてる人たちは、本当にこの世界に自分がいていいのかなとか、自分は何か価値を提供できているのか、不安でたまらないんじゃないか。そういう気持ちは私自身にもあります。
だからこそ自分が価値を提供できていて、この世界に存在する意味があると常に実感していないと、居ても立ってもいられないんじゃないか。たぶんミュージシャンやアーティストも同じで、何か不安だったり、何かが足りなかったりしないと、作品はつくれないような気がします。

パッションはevolveする

竹中 難しいですね。本当に、何からパッションが生まれるんでしょうね。たぶん人によってすごく違うような気もします。
勝手な想像ですが、私、『NewsPicks』編集長の佐々木さんはアメリカのスタンフォード大学に留学して、そこで何かを感じたんだと思うんですよ。もちろんパッションはそれ以前からあっただろうけれど、でもスタンフォードに行ったことで、今までくもっていた視界が一気に晴れたような瞬間があったのかもしれない。