再エネ比率を2倍へ。新エネルギー政策のコストを誰が負担すべきか
2015/09/16, NewsPicks編集部
再生可能エネルギー拡大のための賦課金が問題に
再エネ比率を2倍へ。新エネルギー政策のコストを誰が負担すべきか
2015/9/16
政府は2030年の電源構成において、再生可能エネルギーを震災前の2倍規模の22〜24%にすることを決定した。固定価格買い取り制度のもと賦課金は拡大し、電気料金を押し上げている。原子力、再生可能エネルギーなどの政策コストは誰が負担すべきか。
認可済みの再エネ稼動で賦課金は累計50兆円
政府は2015年7月、東京電力福島第一原子力発電所事故から初めてとなる、2030年時点の電源構成(エネルギーミックス)を決定した。
原子力発電については震災前10年間平均の27%を下回る20〜22%、再生可能エネルギーについては震災前10年間平均の11%から拡大して22〜24%とし、原子力を逆転する規模とする内容である。
再生可能エネルギーの拡大のために、民主党政権下の2012年7月に固定価格買い取り制度が導入された。太陽光など再生可能エネルギーで発電された電気について、一般電気事業者(電力会社)が長期にわたって買い取ることを義務付ける仕組みで、新電力などの再生可能エネルギーへの参入を促す狙いがある。
電力会社が再生可能エネルギーによる電気を買い取る費用は、公的な費用負担調整機関として認定された低炭素投資促進機構からいったん交付され、再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、賦課金)として、電気利用者から回収し、低炭素投資促進機構へ返還されている。その際、電力会社が電気を買い取ることにより節約できた火力発電などの燃料費などは差し引かれる。
賦課金は電気使用量に比例し、全国一律の単価となっている。2012年度には約1900億円(一家庭当たり年間約1000円)、2013年度には約3500億円(同1400円)、2014年度には約6500億円(同2700円)、2015年度には1兆3200億円(同5600円)が、家庭や企業の電気料金に上乗せされている。
また、2014年度と2015年度には比較的導入のしやすい太陽光発電を中心に、見込み以上の再生可能エネルギーの買い取り実績があり、交付金が不足したため、低炭素投資促進機構は金融機関から借り入れを行い、これを補った。2015年末までの利息約5億円と借り入れ手数料の3億4000万円は、同じように賦課金の一部として電気料金で回収されている。 非住宅用太陽光発電では20年間といった具合に、買い取りは長期的に継続するため、賦課金は今後も上昇することが予想されている。資源エネルギー庁は2014年6月末時点で設備認定された再生可能エネルギー電源がすべて運転を開始した場合の賦課金は1キロワット時当たり3.12円、単年度で2兆7000億円、累計で50兆円を超えるとしている。
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コメント
注目のコメント
再エネ普及費用も、東電の原子力損害賠償も、核燃料の再処理積立金も、私たちが電力料金で支払っています。けしからん、国の責任でやれという政策批判を耳にしますが、国の負担とは納税者である私たちの負担です。
エネルギーは受益者負担が見えにくくなっているが、分かりやすかった。
・火力発電では、輸入資源に依存することによる燃料費の変動などがリスクとなっている。
・原子力発電は、事故が起きた場合のリスクや処分のコストが価格に転嫁され、政治的なコストも大きい。
・再生可能エネルギーは、現状ではコストが非常に高いことが問題。
長期的に考えれば、エネルギー供給の「トリレンマ問題」は、再生可能エネルギーが解決すると考えられる。現在問題となっているのも、コストが高かった状態で補助金をかけてでも導入を急ぎ過ぎた結果であって、適切な速度で導入を進めていけば良いのだと思う。
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