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第2回は「恋愛」から読み解く

若者の「恋愛意識」に、どのような変化が起きているのか

2015/9/16
プロピッカーで電通若者研究部の奈木れい氏が、「消費」「恋愛」「仕事」という3つの切り口から、「欲がない」といわれている若者の本当の“欲”に迫る。果たして、これまでの世代とはどんな意識の違いがあるのだろうか。3日連続全3回。
第1回:本当に無欲・淡白・保守的? 今の若者は何を考えているのか

若者の恋愛意識の変化

今回は若者たちの恋愛意識(恋愛欲)について触れていきたいと思います。きっと皆さん、若者の恋愛意識と聞くと、かなりネガティブ、あるいは消極的なイメージをお持ちではないでしょうか。

最近行われた20代、30代の未婚者を対象とした調査では、未婚若者の4割が結婚に対して興味がないという結果でした(クロス・マーケティング調査より)。

なぜ結婚しないのか、その理由として挙げられた理由のトップが、「恋愛自体が面倒・興味がない(52.4%)」でした。この結果自体はさまざまな記事で取り上げられたことが記憶に新しいかと思います。

彼らが恋愛に消極的で、恋人を求める欲求なども従来に比べれば低いことは、事実だと思います。人口動態調査における平均初婚年齢を見ても、男性は30.8歳、女性は29.2歳です。25~29歳独身男女を対象とした出生動向基本調査においても「異性と交際していない」割合は男性56%、女性44%という結果も出ています。

実際、学生と話をしていても、恋愛に対して“積極的な”姿勢はあまりみられません。最近の会話からは、「合コン」という言葉もあまり使わなくなっている傾向も読み取ることができます。

しかし、恋愛に対する欲がなくなっているわけではないのです。

昨年、若者の間でとても流行したものに「壁ドン」がありました。もともとの出典は、少女漫画の中で、男子高校生が女子高校生を壁に追い詰めた後、壁に手を叩きつける行為からきています。

若者たちは、こぞってこの「壁ドン」をまねしました。カップルでまねする例も多くみられましたが、それ以上に、異性・同性問わず友人同士で疑似カップルのように楽しむ姿も多くみられました。

ほかにも、最近は少し落ち着いてきている傾向もありますが、「スクールラブ」と呼ばれる、学校を舞台にカップルのラブラブ風写真を撮る姿も流行したことをご存じでしょうか。壁ドンと同じく、本来はカップルへ向けたアクションでありながら、実際に付き合っていない男女や同性の間で流行しました。

最近だと、特に高校生や大学生に顕著ですが、“萌えるシチュエーション(通称:萌えシチュ)”と呼ばれる、自分たちが憧れるシチュエーションを演じて楽しむイベントを、学生企画のイベントなどで行われている姿をよく見ます。

こうした行為すべてに共通しているのは“恋愛風の体験”をして楽しんでいることです。実際のカップルでなくても、カップルだからこそ楽しめる姿を疑似的に楽しんでいるのです。

少し前であれば、実際に付き合っているカップル以外がこのようなアクションを起こすことは、世間の目としても、本人たちの意識としても難しいことでした。

こうしたことが行われるようになった背景には、異性にモテることよりも、“全方位的にモテたい(みんなに好かれたい)”と若者の意識が変わってきたことにあると考えています。

コミュニティを重視する若者たち

そこから、私たちは若者が恋愛に強い意識が向かない大きな要因は、自分たちが所属しているコミュニティにあると考えています。彼ら/彼女らは、すでに獲得しているコミュニティでの安心感や居場所を壊すほど、恋愛に対して強い意識を向けたいとは思っていないのです。

今の若者たちは多様なコミュニティ(SNS・リアル含む)を保有しています。SNSでも常に他人とつながっているのが当たり前になりました。

先日行った調査の中では、高校生のツイッターのアカウントが平均3.1個、大学生で2.5個、そして20代社会人でも2.7個あることがわかりました。最も多かったのは女子高校生の3.4個という結果になっています。

また同じ調査の中において、コミュニティの数に関する質問をしたところ、高校生が平均7.2個、大学生が7.4個、そして20代社会人が6.8個のつながりを保有していることがわかっています。

これらのコミュニティを保ちながら、恋愛をすることは難しく、根本的な意識としては恋愛が“面倒くさいもの”と感じる気持ちも事実として持っているのです。
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電通総研「若者まるわかり調査 2015」より。

電通総研「若者まるわかり調査 2015」より

彼らの心の中を表すなら「もし、上手にできるならば、恋愛もしたいし、彼氏も彼女もほしい。それでも今のコミュニティの居場所は大事」といったところでしょうか。

恋愛離れが指摘される一方で、学生たちと会話していると、恋愛相談が始まることが多いと感じます。今の若者のマインドは、1つの事象を見ただけでは読み解けず、何故その意識が発生した経緯があるのか? を読み解く必要があると常々感じています。

今回このコラムを何かのご縁で読んでいただいた皆さまには、若者にもまだまだ恋愛欲求があるんだ、と感じていただけたら私はとてもうれしいです。

*続きは明日掲載予定です。