東レ、LG化学の工場買収 エコカー向け電池材料生産 首位の旭化成追う
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これまで技術流出するばかりだった日本企業が韓国企業のノウハウが詰まる材料工場を買収する、というのは結構面白い事例。東レは比較的他のメーカーに比較して韓国への進出にはアグレッシブでそれはさかのぼること、三星の初期の時代にまで戻る。
下記アドレス参照。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141027/273067/いい買収だと思う。シェアとか考えると、そこまで買収自体にスケールメリットなどはないと思うが、LG化学の技術者込みで移ってくるだろうし、彼らはLG化学の電池部隊とこれまでも協業してきているはず。記事にあるようにLG化学の電池でのシェアは高いので、販路とのつながりを強くするという考え方だと思う。LGとしても、今からセパレータで世界で戦えるほどになるのは厳しく、だったら東レと関係を深めて、ボリュームディスカウントももらおうと考えているのではないか?
首位の旭化成は、先日「セルガード」のブランドで業界内では有名なアメリカのポリポア社を買収したばかり。それに続いて東レがLGchemの工場を買収したというニュースです。
リチウムイオン二次電池用セパレータの主要用途はPC→携帯電話(ガラケー)→スマートフォンと変遷してきましたが、スマートフォン→エコカー、の変化では電池のサイズが格段に大きくなるため、市場からのオーダーが1桁増えます。
自動車メーカーはスマートフォンメーカー以上にクオリティ、コスト、デリバリーの要求が厳しいため、セパレータ各社は生産能力の増強に向け血眼で競争を続けています。
各社がそこまでして車載用電池材料に必死になるには、おそらく以下2つの理由があります。
1.スマートフォン向けが儲からなくなってきている
スマートフォン市場はみなさんご存知の通り、アップルの一人勝ち状態です。これはサプライヤー視点では非常によろしくなくて、iPhoneに採用されれば数量は取れるけど買い叩かれ、その他に採用されると数量が出ないため工場が「多品種少量生産」の状態になり生産効率が上がらないという、どちらに進んでも苦しいという状況に追い込まれています。
また安全性に関して、スマートフォン向け電池は使えるスペースが限られますので、電池の外側を強化するのではなく電池内部のセパレータで安全性を確保するという設計思想で作られており(全てのメーカーさんがそうという訳ではありませんが)、セパレータに求められる安全基準が他用途よりも高いという技術的な難しさもあります。
2.車載用はサプライヤーから見たら「少品種大量生産」のマーケットである
一方車載用は上述の通り使用量がスマートフォンとは桁違いのため、ちょっとした車種で採用されるだけでも大きなインパクトがあります。iPhone級のアプリケーションがゴロゴロ転がっているイメージです。
しかもスマートフォン市場とは違いどこかの自動車メーカーが一人勝ちという状態ではないので、サプライヤーとしてもある程度の交渉力を持てるのも魅力です。
業界全体で生産能力増強を目的とした買収が相次いでいる背景は、これから本格的に立ち上がる車載市場では、大きな生産キャパシティを持つ一部のサプライヤーしか検討の遡上に乗らないためです。
以上のような流れから見ると、今回の買収はすんなり理解できます。