【堀江×ロンジン】優秀な経営者がいれば、ソニーはまだまだ行ける

2015/9/13
日本人の多くが愛してやまないソニー。日本企業の象徴とも言えるソニーが、真の復活を遂げるには、経営、テクノロジー、マーケティング面などで何が必要なのか。10年前にソニー買収を計画した堀江貴文氏が、本連載でソニーの分析を担当したアナリスト集団ロンジンの和泉美治アナリスト、泉田良輔アナリスト、椎名則夫アナリストと「ソニー改造計画」を語り尽くす。

ソニーはコングロマリット

──最初の問いとして、「今のソニーは何の会社なのか」について話したいと思います。今、堀江さんとロンジンの皆さんから見て、ソニーは何をメインの事業とする会社に見えますか。言い方を変えると、ソニーのアイデンティティは何だと思いますか。
堀江 コングロマリットですよね。
ロンジン 確かに。
堀江 完全にコングロマリットですよね。
コングロマリットとして、ファイナンスなども手がけていたから、シャープのような状況にならなかったという気がしなくもない。もともと、ソニーは技術者が優秀であったり、ブランド力が高かったりという面もあるんだけど、それ以上に、エレクトロニクス一本足打法にならなかった面が大きいという気がします。
ロンジン ただ、一応、金融事業で稼いだお金はエレクトロニクス事業に使えないんですよね。
堀江 どういうことですか。
ロンジン 金融事業で稼いだお金は、金融事業の中で回さないといけないので、エレクトロニクス事業はそのお金に手を出せないんです。
堀江 ソニーには、キャッシュマネジメントシステム(グループ企業全体の資金を親会社や金融子会社の専用口座にプールするシステム)みたいなものはないんですか。
ロンジン それはあります。ただ、資金の自由度は高くありません。たとえば生保事業の場合、資産の80%程度を国債、20年債を中心に運用しているので、資金をエレキ事業に貸したり、使ったりするのは難しいわけです。
堀江 それでも、連結決算としてはファイナンス事業がソニーグループ全体に貢献しているわけじゃないですか。エレキが赤字でも、金融で稼いでいる分、ソニー全体ではどうにかなっていると言っていいんじゃないですか。
ロンジン 全体で見たら、そうですね。
堀江 だから、全体で見たら、ソニーはコングロマリットとしてうまくいっているほうですよね。普通は異業種の会社がファイナンス事業を始めると、だいたい失敗するんですよ。
たとえば、バブルのときにリクルートが始めたファーストファイナンス(1977年に設立され主に不動産担保の金融を行う。バブル崩壊後、不良債権が膨らみ経営不振に。2007年に解散)とか。
ロンジン なるほど。そういう意味では、ソニーはうまくいっていますね。事業のスケールが大きかったというのもありますし。
堀江 そうそう。わりとうまくやっていますよ。しかも、ソニーの場合、スピンオフした事業もうまくいっている。
ロンジン 確かに。遠心力が働いている事業のほうがうまくいっている。