5年後、メディア業界で勝つのは誰か
2015/09/02, NewsPicks編集部
歴史に学ぶメディアイノベーション
5年後、メディア業界で勝つのは誰か
2015/9/2
これから5年で、世界のメディア業界は大きく変わる。激動の時代の中で、勝者になるための条件は何か。誰がコンテンツとビジネスの新しいモデルを創るのか。媒体別の予測とあわせて、イノベーションのためのヒントを歴史から探っていく。
勝者をどう定義すべきか
「なんて雑駁なテーマなんだ」
本稿のタイトルを見て、そう思った読者の方も多いだろう。もっともな疑問である。
そんな不満を少しでも緩和するため、前置きとして、「メディア業界」と「勝者」のおおまかな定義を説明したい。
メディア業界と言っても、映像から紙からネットからラジオまでさまざまだ。各メディアが融合しつつあるとはいえ、依然、明らかな違いもあり、十把一絡げに論じるのは難しい。そのため本稿では、活字を主な表現手段とする、新聞、通信社、雑誌、ネットメディアを対象としたい。
次に、「勝者」とは何だろうか。
普通の企業であれば、利益や企業価値で評価するのがオーソドックスだが、メディア企業は非上場の企業が多いうえ、利益の追求がメディアとしての公共的な役割に必ずしもつながるわけではない。儲かっていなくとも、社会に役立っているメディアもある。ただ、どんなにいいことを書いても、それが読まれなければ意味がないのも冷徹な事実だ。
そこで本稿では、読者数が多く、メディアとしての収益が高く、コンテンツの質が高い(報道面ではスクープの数、ピュリッツアー賞の数などがひとつの指標になる)、そうしたメディアを優れたメディアと定義しよう。ふんだんな収益を元手に、質の高いコンテンツを創り、多くの読者を惹きつける「メガメディア」と言い換えてもいい。
あわせて、もうひとつ勝利の定義を加えたい。
それは「100年に1度とも言える大変化の中で、メディア業界に永続的な新モデルを創れるかどうか」だ。具体的には、「コンテンツ(デザイン含む)」と「ビジネスモデル」のイノベーションを実現し、新たなルールを創ったメディアを勝者としたい。
今は、ジャーナリズムよりビジネスが重要
個別論に入る前に、5年後の勝者になるための3つの条件を記しておきたい。
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コメント
注目のコメント
非常に読み応えのある記事で面白かったです。ただ「ビジネスをジャーナリズムより優先せざるをえない」とメディアが言い切るのは自殺行為だと思いました。私は「事務所の売上を弁護士倫理よりも優先せざるを得ない」とは絶対に思いません。梅田さんがコメントされている通り、時系列の関係であり、表現の問題なのかもしれませんが、危うさを拭いきれません。
あと、この点はもちろんご検討されているのだと思いますが、「純広告費」という括りで言えば、市場はコンスタントに拡大していると理解しています。新聞広告費のみに着目するのではなく、ユーザーの可処分時間と企業側の広告マーケティングニーズをいかにつなげて、「純広告費」の中でのパイを如何に広げていくのかがポイントなのかなと感じました。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0224-003977.html
私自身がメディアビジネスにリスクをとっているわけでもないくせに、偉そうなことを申し上げて、大変僭越ですが、一般ユーザーからの成り上がりとして、Newspicksの大ファンとして、一言書かせて頂きました。編集長が指摘している通り、良質なジャーナリジムをうむためには、まずはビジネスを成り立たせる事が前提条件になります。これは対立するものでなく、順番の問題ですね。PCブラウザの時代にこのビジネスモデルが崩壊してしまった事がいまの最大の課題で、再び紙の時代と同じ環境を取り戻す必要があります。そして、スマホの登場により再びゼロからビジネスモデルを構築できる大チャンスが登場しました。僕はジャーナリジムなど、大それた事はまだ言えませんが、まずはその土壌となるビジネスモデルの構築を頑張ります。ちなみにコメントでもご指摘頂いている通り、今はSPEEDAの収益に支えられている面がありますが、NewsPicks単体でも必ず高収益な事業にします。そうしないと意味がないと思っています。
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