原子力発電の公益電源化は、電力小売の新規参入を促す
2015/08/19, NewsPicks編集部
新電力から見た原子力公益電源化のメリット
原子力発電の公益電源化は、電力小売の新規参入を促す
2015/8/19
原子力発電から得られる電気を卸売市場へ提供することになれば、電力小売り全面自由化後も、安定供給、安定価格というメリットを国民が享受できる。それだけではない。政策次第では、これまでの自由化で達成できなかった卸売市場を活性化し、新電力の小売参入を促すことも可能だ。
新電力のボトルネックは、ベース電源の供給力不足
連載第3回にて、2016年4月の電力小売り自由化を契機に「地域独占」「総括原価」を失うことになる電力会社において、原子力事業を維持することは難しいと述べた。「地域独占」「総括原価」などの制度的保証こそが、電力会社の低利で巨額な資金調達を可能にしてきたからである。
そこで筆者は、(1)原子力事業への「総括原価」の維持、(2)既設の原子力発電から得られる電気(発電容量)の現行の卸売市場への供出、いわば「公益電源化」、さらには(3)電力会社からの原子力事業の分離、集約を提言した。1社当たりの保有原子炉が増えることによって、不稼動リスクを低減でき、ばらつきのある現在の事業者の技術レベルを全体として引き上げることができるからである。
では、原子力発電による電気の調達サイドにとって、(2)の「公益電源化」はどのようなメリットがあるのだろうか。電力自由化において新規参入を果たした特定規模電気事業者(PPS、新電力)を例に考えてみたい。
連載第2回でも述べたが、1995年から2005年に行われた電力自由化では、全販売電力量の約62%が解放されながら、新規参入者のシェアは、2013年度時点で、全需要の2.6%にとどまっている。
newspicks.com
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コメント
注目のコメント
原子力から得られる電気を卸電力市場に供給すれば、ベースロード電源に乏しい新電力の新規参入が促されるだろう。そもそも、過酷事故を経て、小売完全自由化を間近に、なお、現行の9電力体制で原子力事業が維持できるとは思えない。
「再生エネルギーに対する固定価格買取制度が導入された結果、太陽光発電を中心として、新電力事業登録の届け出が相次ぎ、その数は800に迫る勢いで急増しているが、実際に電力を供給しているのは、その1割程度である(下図、2015年8月12日現在)。」
びっくり。なんでだろう?
発電可能量>送電可能量?
ただの権益確保?
前者なら民主党政権が馬鹿だったって事?
後者ならやらない業者はさっさと届出取り消させて欲しい