今やライバルは広告代理店。アクセンチュア「左脳集団」の進化

2015/8/15
朝起きると、その日のオススメのコーディネートが鏡に映る。通勤途中の駅で目にするのは動画広告だ。色やサイズを選び、「BUY NOW」ボタンをプッシュ。たとえば街を歩く女性の服が気になれば、デジタル端末でスキャン、自動的にオンラインショッピングサイトの購入画面へ──。
そんな未来のデジタル社会を描いたこのムービー。実は、アクセンチュアとクライアントのファーストリテイリングがデジタル分野で協業していくにあたり世界観をイメージして制作したビデオである。一見すると広告代理店がつくったコンセプトムービーかと見紛う。
最近、アクセンチュアに限らず、戦略コンサルティング会社がこのような動画を含むデジタルを駆使してビジネスを推進するケースが増えている。そこに潜むコンサルティング会社の思惑とは何か。アクセンチュア・インタラクティブを統括するマネジング・ディレクターの黒川順一郎氏はこう語る。
「もちろん、提案する際に動画だけを採用するようになったわけではないですが、提案内容によっては、分厚いパワーポイント資料より動画のほうが伝わりやすいこともある。特にデジタルな世界観を伝えるなどは特に説得力があります」
黒川氏が率いるアクセンチュアインタラクティブは、2014年に発足した。他部署と連携しながら、戦略立案やオペレーションの支援といった顧客のデジタル面の課題解決を担う。その内容は、マーケティングにとどまらず、サイトの構築やキャンペーンの立案・最適化など、川上から川下まで一手に引き受ける。

広告代理店が競合に。コンサル業界が抱く危機感

だが、Webサイトの構築やキャンペーンの立案などは、これまで広告会社やPRエージェンシーが得意としてきた領域だ。なぜ、戦略コンサルティング会社がこのような領域に進出するのか。
背景には、アクセンチュアの危機感がある。