[東京 11日 ロイター] - 九州電力<9508.T>は11日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を再稼働させた。2013年7月施行の新しい原発規制基準の下では初の原発再開で、東日本大震災後、2013年9月から約2年間続いた「稼働原発ゼロ」の事態は終わった。

一方、東京電力<9501.T>福島第1原発で起きたような重大事故を想定した住民の避難計画は不備が指摘されるなど、川内原発の安全性にはなお課題が残っている。

川内1号は14日に発電を開始する予定。九電は川内1号に続き、2号機を10月中旬に再稼働させたい考えだ。

<審査と再稼働、加圧水型が先行>

新規制基準については川内1、2号のほか関西電力<9503.T>高浜3、4号機(福井県)と四国電力<9507.T>伊方3号機(愛媛県)の計5基が合格しており、再稼動への動きはさらに広がる可能性がある。

これら5基は東電福島第1とは異なる「加圧水型」。しかし、高浜3、4号について今年4月、福井地裁が再稼働を認めない仮処分を決定、司法判断が覆らないと再稼働はできない。伊方3号は愛媛県など地元同意が焦点だ。

「合格」が相次ぐ加圧水型に対し、福島第1と同じ沸騰水型では8原発10基の審査が続いているが、最大の課題となる地震や津波想定について結論が出た事例はなく、いつ合格となるかは不透明。規制委は6日、東電柏崎刈羽6、7号(新潟県)を集中審査する方針を決定した。

総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の小委員会に参加する東京理科大学大学院の橘川武郎教授は、なお停止状態にある42基に加え、建設中の電源開発<9513.T>大間原発(青森県)など新設炉を加えると、「再稼働は最終的に30基前後」との見通しを示した。

<川内原発、避難計画に課題>

福島事故を契機に政府は原発から30キロ圏内の自治体に防災・避難計画策定を義務づけた。ただ、鹿児島県は子供や高齢者などの「避難弱者」を抱える医療機関や社会福祉施設のうち、川内原発から10キロ以遠の施設については計画策定を求める対象から外した。風向きによって避難先を調整するシステムなど「代替する仕組みはできている」(原子力安全対策課)というのが県側の説明だ。

しかし、原発に隣接するいちき串木野市に住む江藤卓朗さんは「重大事故が起きたら短時間で逃げられないし、みな被ばくするだろう」と懸念を示した。

*内容を追加します。

(浜田健太郎 編集:北松克朗)