電力自由化政策下で原発事業は維持できない
2015/08/06, NewsPicks編集部
抜本的見直しが急務な原子力発電
電力自由化政策下で原発事業は維持できない
2015/8/6
小売完全自由化の打撃を最も被るのは、原子力事業である。総括原価、地域独占の制度的保証を失えば、投資回収も適わず、いずれ原子力発電は消滅する。民間事業としての原子力発電事業の在り方と国の関与について、抜本的な見直しが必要だ。
現実味が極めて薄い、20〜22%の原子力発電比率
2014年7月10日に新規制基準への適合が認められた九州電力川内原子力発電所1号機、2号機のうち、1号機を8月中旬にも再稼働する運びとなった。関西電力大飯原子力発電所が停止して以来、1年11カ月ぶりに原子炉が運転されることになる。
川内2号機については、新規制基準に対応して新しく導入した設備について、その設置状況や機能などを確認する使用前検査に入っている。四国電力伊方発電所も2015年5月20日に新規制基準をクリアしたばかりだ。
電力会社や政府が想定していたスピードから大きく遅れているものの、原子力発電所の再稼動は順次行われるだろう。
しかしながら、政府が先ほど決定した20〜22%という原子力発電の電源構成を2030年に実現するには、計算上、廃炉を決めた5基を除く43基のうち、30基を超える原子炉が稼動していなければならない(稼働率は70%と想定)。
ただし、原子力規制委員会の新規制基準の原則に基づき、40年運転後の廃炉を決めた場合、2028年にはすでに、原子力発電所の設備容量が現在の半分を割り込んでしまうことになる(図参照)。現在、新規制基準の適合申請を行っているのは、15発電所の25基である。
仮に、関西電力高浜発電所1号機、2号機が2015年4月末に行ったように、運転期間延長認可が申請され、60年間の稼動が認められるか、リプレース(同じ発電所の中に新炉の建設)が行われなければ、20〜22%の原子力依存度は、まったく現実味を失うことになる。
newspicks.com
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