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欧米金融機関の花形はIT技術者になる可能性も

ビットコインは、欧米金融の新プラットフォームになるか

2015/7/28

フランスの最大銀行BNP Paribas(BNPパリバ)は、外国資金にビットコインを追加することを検討している。大手オンライン・メディア「International Business Times」(IBT)は、BNPパリバ社員の匿名の情報筋をもとに、同銀行は暗号通貨であるビットコインを中心に“ベータテスト”を行っており、近日中に公式発表を行うと報じた。

「われわれは、取引後のプロセスをもっと早く安くするため、どうやってブロックチェーンテクノロジーをうまく導入すればいいのかを検討している。だが、現時点ではまだ試験の段階にある」とそのスポークスパーソンはIBTに語っている。

ブロックチェーンテクノロジーとは、ビットコインが創造したソフトウェアで、いわゆるデジタル通貨を安全に流通させる技術である。そして、世界中の数千のコンピューターやサーバーに分散されている。ブロックチェーンテクノロジーは、取引を安全と透明にすると思われている。

BNPパリバが出版している金融雑誌「Quintessence」の最新7月版には、同社のアナリストJohann Palychata(ヨハン・パリシャター)氏がビットコインはある業界を“不要”にさせると語っている。また、同氏によると、「ブロックチェーンテクノロジーは蒸気エンジンと並ぶほど、重要な発明だと考えるべき」だと言う。

ちなみに、UBS証券、バークレイズ証券、ゴールドマン・サックス証券、ソシエテ・ジェネラル証券などの大手金融機関もブロックチェーンテクノロジーに挑もうとしている。

市場情報を提供しているグリニッジ・アソシエイツ(Greenwich Associates)の調査によると、欧米では金融機関の47%がビットコインの導入を積極的に検討しているという。

また、フランスの大手金融機関であるソシエテ・ジェネラルは、「リンクトイン」に“ITディベロッパー”の求人広告を掲載し始めた。

そのITディベロッパーの仕事の範囲は何かと言えば、もちろん、ビットコイン、ブロックチェーンと暗号通貨だ。このソシエテ・ジェネラルの求人は、同社が金融業界における技術による革新に対し、会社が全体的に進化させようとする戦略のひとつであると述べている。

こういったトレンドは、民営セクターに限られた話ではない。たとえば、7月22日、チュニジア政府が公式フェイスブックに、コミュニケーション・テクノロジーとデジタル経済省において、ビットコインとブロックチェーン技術を研究するインターンシップを求人し始めたほどだ。

また、米国でもビットコインを導入する動きは盛んだ。7月23日、ナスダックOMXグループのグレイフェルド最高経営責任者が、ビットコインについて「ブルームバーグ」にこう語った。

「今後ビットコインは、ウォール街にとって根本的に非常に重要である。われわれの業界への効果は莫大で、無視することができない」

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