上層部の気まぐれ人事でモチベーションが低下。どうすればよい?

2015/7/16

【佐山氏への相談】

はじめまして、いつも連載を拝読させていただいています。本日は「人事異動」について相談したくご連絡をさし上げました。
現在、中規模企業に勤めているのですが、先日部署異動がありました。
以前は開発部に在籍し、そこでの仕事に手応えを感じていたため「今後も開発部で頑張っていきたい」と考えていたのですが、今年の人事異動でまったく畑違いの営業部に飛ばされてしまったのです。
仕事ぶりを認めてくれた直属の上司には開発部でキャリアを積みたいという意向も伝えてあったので、納得がいかず、異動の理由を聞いてみたところ、「同じ部署に同期が2人いるのもなんだから」という上層部の判断とのことでした。
営業の仕事自体は嫌いではないものの、ここ3〜4年積み上げてきたスキルがまったく生かせないことや、「上層部の気まぐれで異動になった」とのネガティブな考えが頭を離れず、モチベーションが低下しています。
こういった場合、どうすればよいのでしょうか。知人には転職を勧められましたが、人間関係が良好なため、なるべくなら転職はしたくない、とも考えております。
(会社員、男性、20代)

意図せぬ人事異動があるのが会社員

意図せぬ部署に異動になったので落胆しているとのこと。申し訳ありませんが、まず「人事異動は理不尽なもの」です。自分の希望を会社に伝えることは重要ですが、残念ながら人事異動の決定権は会社にあります。
そもそも会社というものは、意図せぬ部署に異動させることもあるものです。それを認識したうえで、会社員を続ける必要があります。
人事異動の理由を聞いたところ「同じ部署に同期が2人いるから」とのことでしたが、人事異動の理由を聞いても仕方がありません。一般に会社の大勢の異動で玉突き的に移動することもあり、異動理由のすべてを会社が教えてくれるはずがありません。

「社内価値」の高い人は理不尽な人事異動にあわない

とはいえ、人事異動の希望については、会社は、会社に残ってほしい人材、すなわち「社内価値」の高い人の希望は聞く傾向にあります。それは、希望通りにならなければ辞められるかもしれないからです。
それは不公平じゃないかと思うかもしれませんが、みんなの希望を聞いていたのでは、人事異動が決まりませんし、会社を向かわせたい方向に持っていくこともできませんので、仕方がありません。
要は、会社という場を通じて、自分を磨き、会社での「社内価値」を高めながら、自分の「市場価値」を高めるよう努力すべきだということに尽きます。
社内での評価の「社内価値」を高めると理不尽な人事異動にもあわず、やりたい仕事をやらせてもらえ、やりたい仕事ができれば、面白いので自分の「市場価値」も上がるという好循環になります。

人事異動で腐って損するのは自分

しかし、人事異動に不満があっても、とりあえず新しい部署に行かなければいけません。
普通なら、不本意な人事異動になった際の選択肢は、(1)新しい部署で面白くないと不満を言いながら働く、(2)理不尽な人事異動をする会社なので転職する、ということではないでしょうか。
まず、(1)の新しい部署で不満を言いながら仕方なく仕事をした場合、面白くない毎日が続きます。仕事を面白くないと思いながら続けても、成果は上がらず会社の評価も得られませんし、自分自身も成長しません。年齢を重ねても、社内価値は上がらないし、自分の市場価値も劣化するのみです。
次に、(2)の理不尽な人事異動をする会社なので転職した場合を考えてみましょう。
相談者はまだ20代とのことで恐らくその開発分野での市場価値を築くに至っていないと推察されます。そんな状態では市場での評価も得られませんし、採用する側にも魅力的には映りません。
従って、歯車のひとつとしての採用しか期待できませんし、今の会社で良好だという人間関係も、転職先の会社で今より良くなるとは思えません。
最初から特別扱いで大切に処遇されるわけでもなく、転職した会社でもまた理不尽な人事異動にあい、同じ思いでまた転職を考えないといけない状況になると思います。
それは、どこの会社に行っても、そもそも人事異動というものは理不尽なもので、特に社内価値の低い人にとってその理不尽度は増します。
従って、不満を持って仕方なく仕事をする(1)も、すぐに転職する(2)も、賢明な選択ではありません。

仕事は「面白そう」を探求する冒険

ではどうすべきか。