5Gがもたらす「主役交代」。未来を予測する3つの軸
2015/07/12, NewsPicks編集部
インフラが変われば、コンテンツが変わる
5Gがもたらす「主役交代」。未来を予測する3つの軸
2015/7/12
次世代モバイルインフラの中核技術として期待される「5G」。過去、モバイルサービスとそのプレーヤーは、ネットワークの進化とともにどのように移り変わってきたのか。これまでの歩みと、5Gインフラが整ったときの新たな社会・生活を予測する。
インフラが先か、コンテンツが先か
5Gの移動通信インフラが実現したとき、どのような時代が訪れるのだろうか。過去を紐解くことで、「5G時代」の姿が少しは見えてくるのではないだろうか。
未来が過去と同じような動きになるとは限らない。しかし、結論から言えば、移動通信インフラが整備され、それに応じたハードウェアが普及し、それと時を同じくして新しいサービスが生まれる。
「インフラが先か、コンテンツが先か」という「鶏が先か、卵が先か」という同類の議論があるが、私は「インフラが先だ」と考えている。
5Gにより起きる変化を考える前に、これまでに起きた変化を確認していこう。下図は、移動通信インフラ世代に対応した、通信スピード、サービスプラットフォーム、ハードウエア、コンテンツの代表例を記したものである。
i-mode時代の教訓
国内の携帯電話市場を考える際に忘れてはいけないのが「i-mode(アイモード)」である。
i-modeは、現在の「iTunes」「App Store」「Google Play」の元祖ともいうべき存在だ。その斬新さは、コンテンツプラットフォームと決済プラットフォームの両方を兼ね備えていたという点にあった。コンテンツと決済機能の両方を兼ね備えたプラットフォームを、本稿では「サービスプラットフォーム」と呼ぶことにする。
現在30〜40歳代の携帯電話ユーザーが、i-modeなどの通信キャリアによるサービスプラットフォームで頻繁に利用したコンテンツといえば、「着メロ」が多いのではないだろうか。着メロは、移動通信インフラが2Gから3Gにアップグレードする中で花開いたコンテンツのひとつだ。
着メロのデータ容量は、楽曲やキャリアによって異なっていたが、仮に1楽曲あたりの容量が50〜500KBだとすれば、3Gのインフラ環境で1から10秒程度でダウンロードできたことになる。この程度のダウンロード時間であれば、ユーザーもストレスなく利用できることもあり、一気に普及が進んだ。
その当時、着メロ配信企業として、2001年にフェイスが、2003年にドワンゴが、2004年にインデックスが上場を果たしている。
その中でも注目すべきは、フェイスだ。フェイスは携帯電話向け「着メロ」を手がける以前には、インターネット配信向けカラオケなどを開発していた。その後、CompactMIDIの規格を確立し、その規格がNTTドコモやKDDI(au)といった通信キャリアやクアルコムなどの半導体メーカーにも採用され、業績を大きく伸ばした。着メロは国内のみならず海外でも普及し、ひとつのコンテンツ産業として地歩を固めた。
ここで重要なテーマは、「ひとつのコンテンツが産業として確立されるための条件とは何か」ということだ。その条件とは、移動通信インフラが整備されるという前提があったうえで、着メロというコンテンツ、半導体を含むハードウェア、決済プラットフォームの3軸が整備されていることである。
余談かつ一般論で恐縮だが、「クールジャパン」を筆頭に、日本企業が海外においてコンテンツで勝負しようとする際に「決済プラットフォームは何で勝負するのか」は、ほとんど議論されない。
しかも、ハードウェアに関しては端末だけでなく、半導体のCPUやAPUでも強みはない。結局、「良いコンテンツで勝負」という一本槍しか見出せていない。産業としてしっかりと確立するためには、先の3軸が必ず不可欠にもかかわらずだ。
着メロの勝者。フェイス、ドワンゴ、インデックスのその後
さて、その後、着メロ産業とそのプレーヤーはどうなったのだろうか。
newspicks.com





