知らなきゃ損!?急成長する更年期市場、ビジネスチャンスは?
働く40代以上の女性も増加し、政府の女性活躍推進施策も後押しする中、更年期市場が国内外ともに急成長している。
そこで、2024年1月〜8月の「更年期市場」に関連する国内外のニュースから、ポイントと注目記事を紹介する。
0.目次
1.海外
2.政府
3.企業
4.スタートアップ
5.調査・研究
6.男性更年期
7.まとめ
8〜11.イベント登壇・著者紹介
1.海外
【ポイント】
・更年期治療の進展:アステラス製薬が乳がん経験者向けの更年期障害薬の最終治験を開始。尿失禁治療機器やホットフラッシュ緩和デバイスなど、更年期症状に対応する技術開発が進む。
・企業・政府の取り組み:アメリカ企業では「メノテック(更年期+テクノロジー)」導入が加速。バイデン政権は女性の健康調査強化へ2億ドル拠出。
・更年期に対する意識改革:著名人が更年期について積極的に発言。更年期の「負のイメージ」払拭やリーダーシップの重要性が強調される。
・市場の拡大:フェムテック市場は2030年に14兆円超へ成長見込み。更年期スタートアップへの投資も増加傾向。
・課題:アジアでは更年期障害への理解不足や経済的負担が課題として残る。
【注目記事】
・【フェムテック最前線】アメリカ企業が更年期サポート「メノテック」導入を急ぐ理由
・更年期の「負のイメージ」を払拭するためにリーダーができること
・温度調整でホットフラッシュを緩和、スマホ連携も備えたEMBR LABS
・尿失禁治療機器でFDA認可を取得、米AXENA HEALTHとノルウェーPELVITAL
・フェムテック市場は2030年に14兆円超へ、女性の課題を技術で解決
・女優ハル・ベリーさん、更年期対策訴え 「女性は助けが必要」
・Midi Health が、更年期ケアの推進に向けてシリーズBで6,000万ドルの資金調達
・健康系アプリが更年期障害と片頭痛に関する教育コンテンツを導入
・フェムテックとしての「Apple Watchとアプリ」。生理周期・更年期、妊活など女性の健康課題への取り組みを、Appleヘルスケア担当デサイ博士に聞く
・アジアの更年期障害の課題:女性の健康改善のための経済的根拠
・女性向け健康スタートアップがホルモン関連サービスを更年期障害にまで拡大
2.政府
【ポイント】
・女性活躍推進:なでしこ銘柄にフェムテック評価項目導入。女性管理職比率の開示義務化を提言、企業への健康配慮促進など、政府主導で女性活躍を後押し。
・ジェンダーギャップ:男女共同参画白書が発表され、働く女性の健康と仕事両立の重要性を強調。日本のジェンダー・ギャップ指数は118位と、依然として課題が残る。
・経済的視点:女性の健康課題による経済損失は3.4兆円。更年期などによる離職が大きな要因。女性起業支援や人的資本経営の視点も重要視される。
【注目記事】
・<独自>なでしこ銘柄、フェムテックを評価項目に 女性の健康課題へ企業の対応促す
・女性管理職の割合は平均10.9%、初の1割超え 課題認識、「女性の昇進意欲」が企業規模間で大きな差
・女性管理職比率 公表義務づけを提言 厚労省の研究会が報告書案
・「男女共同参画白書」男女とも活躍の社会 仕事と健康両立重要
・女性起業にガラスの壁 育休給付金は対象外、理解欠くVC女性起業にガラスの壁 育休給付金は対象外、理解欠くVC
・人的資本と女性管理職。2023年3月期から有価証券報告書(有報)で女性管理職比率と男性の育児休業取得率、男女間賃金格差の3つの指標の開示が義務付け
3.企業
【ポイント】
・健康経営:企業は積立年休制度やフェムテックサービス導入など、従業員の健康増進に取り組む。更年期と睡眠に関する取り組みも発表され、対策の具体化が進む。
・更年期への理解促進:大企業とスタートアップが連携し、更年期の不調や睡眠改善を目指すサービスを提供。
【注目記事】
・大塚製薬、カシオ計算機「積立年休制度」でイノベーション創出を狙う
・陽と⼈×パラマウントベッド共同開発「更年期世代の女性社員と職場をサポートする」法人向けフェムテックサービス ライト版開始
・三菱地所コミュニティ 健康経営を推進する法人向けフェムテックサービス『ルナルナ オフィス』「月経プログラム」に続き「更年期プログラム」導入決定
4.スタートアップ
【ポイント】
・更年期ケア:オンライン相談、診療、ホルモン検査など、更年期に特化したサービスを提供するスタートアップが登場。
・起業支援:女性起業家への支援も活発化。沖縄科学技術大学院大学などが研究者を起業支援。VCによる資金調達支援も進む。
【注目記事】
・「沖縄に女性の医療研究センターを」 “更年期問題”解決を目指す研究者を起業支援 沖縄科学技術大学院大学“OIST”とは
・女性ヘルスケア領域での事業を通じて社会課題の解決を目指す株式会社menopeer(メノピア)、シードラウンドでの資金調達を実施
・《更年期ケアのTRULY》髪の毛をカットして送るだけ【女性ホルモン検査サービス】MENOPO CHECK FOR WOMENを販売開始
・更年期の睡眠課題を払拭!ラインを使った更年期向け心と体の健康管理サービスを提供している株式会社オノフと東京大学医学部発のメディカル睡眠テック株式会社ACCELStarsが、協業を開始
5.調査・研究
【ポイント】
・更年期の実態:フェムテックやメノテック(更年期+テクノロジー)の認知度は依然として低い。更年期症状のイメージと実態に乖離があるとの調査結果も。
・社会の意識:女性特有の症状への配慮・理解を求める声が多い。更年期症状を抱えながらも相談相手がいない女性も少なくない。
【注目記事】
・フェムテックの認知は23%、メノテックの認知は6%とわずか 女性特有の症状に対し、社会での配慮・理解が進んでほしい人は77%
・イメージする更年期症状は、実際の症状と結構違う~実際はホットフラッシュやイライラばかりではない
・次に何が来る?生理、更年期…女性をラクにする商品予測ベスト10
6.男性更年期
【ポイント】
・認知度向上:男性更年期障害への理解促進が進む。企業による支援の動きも。
・症状と対策:30代から発症の可能性があり、意欲喪失や不眠など心身に不調をきたす。
【注目記事】
・謎のモヤモヤ 社内メールで気づいた男性更年期 企業など支援の動き
・【更年期ケアのTRULY】KDDIのトータルヘルスケアアプリ「auウェルネス」ユーザーの更年期関心度を調査。髪の毛をカットして送るだけの男女のホルモン検査キット「MENOPO CHECK」を活用
・ポーラ・オルビスホールディングス 『ルナルナ オフィス』の「男性更年期プログラム」を実証導入
7.まとめ:女性活躍推進と経済効果への期待
この数年で、更年期市場が世界的に拡大し、特に米国・英国では、企業が従業員の更年期ケアに積極的に取り組む動きが加速している。これは、更年期を迎える女性従業員の健康と生産性を維持し、離職を防ぐことで、企業全体の業績向上につなげる狙いがある。
更年期への関心の高まりは、イノベーション促進にもつながっている。アステラス製薬では更年期障害薬の最終治験を開始するなど、新たな治療法や製品開発が進んでいる。ウェアラブルデバイスやアプリを活用したセルフケアも注目だ。
一方、政府も「女性の健康課題解決」に向けて動き出している。日本では、企業の女性活躍推進を促す「なでしこ銘柄」にフェムテック評価項目が導入された。また、米国では、バイデン大統領が女性の健康調査強化へ2億ドルの拠出を表明している。
更年期市場の拡大による経済効果も期待されている。女性の健康課題による経済損失は大きく、更年期による離職を防ぐことは、企業だけでなく社会全体の活性化にもつながる。
しかし、更年期に対する社会の理解はまだ十分ではない。更年期症状を抱えながらも相談相手がいない女性は多く、更年期に対するネガティブなイメージも根強く残っている。米国では、ミシェル・オバマ氏など著名人が、積極的に更年期について発言することで、社会全体の意識改革が少しずつ進んでいる。
更年期は、多くの女性が経験するが、「症状のデパート」とも呼ばれるほど、症状は個人差が大きく、適切なケアが必要だ。政府、企業、そして社会全体が協力し、更年期を迎える女性が安心して活躍できる環境を整備することが、今後の重要な課題である。
8.【イベント登壇①】9/30(月)19時〜渋谷、Femtech国内最新動向アップデート
・申込はコチラ
9.【イベント登壇②】10/18(金)12:00〜東京ビックサイト(参加無料)
・申込はコチラ
10.【イベント登壇③】10/18(金)14:00〜東京ビックサイト(参加無料)
・申込はコチラ
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【トップ画像】GettyImagesをもとに筆者作成
11.筆者紹介