Two female soccer players competing for the ball.

私たちにも(かなり大きな)責任がある

アメリカの4大会ぶり3回目の優勝で幕を閉じたサッカーの女子ワールドカップ(W杯)。女子選手の報酬が男子選手に比べていかに安いかが注目され、怒りを招いている。

問題は、彼女たちの報酬が公平であることだ。

さらに、女子の優勝賞金が少ないことに文句をつけている人の大半が、この問題に加担している。彼らの中で、W杯以外で女子のプロの試合をスタジアムで観戦したことがある人は、いったいどのくらいいるだろうか。

今回のW杯カナダ大会の賞金総額は1500万ドル。アメリカの女子代表チームが獲得した優勝賞金は200万ドルだった。それに対し、アメリカの男子代表チームは、ベスト16で敗退した昨年のW杯ブラジル大会で4倍以上の900万ドルを手にしている。ブラジル大会の賞金総額は5億7600万ドル。女子カナダ大会の40倍だった。

ここでひとつ重要な疑問が生じる。男子と女子のサッカーは何が違うのだろうか?

大きな違いは収入だ。女子選手の報酬が男子より少ない理由は、女子サッカーが男子ほどカネを稼げないからだ。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、昨年の男子W杯のスポンサー収入は5億2900万ドルだったのに対し、今年の女子W杯は1700万ドルだった。

優勝したアメリカに分配されるのはそのうち約11%で、昨年優勝したドイツの男子代表チームの6.6%より割合こそ大きいが、金額の差は言うまでもない。

女子と男子の「違い」

問題の本質は、なぜ女子の報酬が男子より少ないのか、ではない。本当に考えるべきなのは、なぜファンとスポンサーは女子サッカーにあまり関心がないのかだ。

男子と女子の試合の違いについて、細かい技術的な説明はいくらでもできるだろう。サッカー以外のスポーツにもそれぞれの違いがある。ただし、男子のサッカーは女子より本質的に面白いという「理由」は、よく引き合いに出されるが真実ではない。男子サッカーのほうが40倍も面白いことは決してない。

私たちの大半が、男子サッカーのほうが優れているという社会的な概念を受け入れ、男子の試合のほうが面白いと無条件で思っている。このようなウソがいったん社会に根づくと──長い歴史をかけてつくられてきたウソだ──訂正するのは難しい。

女性たちは、フィールドの中でも外でも男性と同等であると認められるために、数十年間、数百年間、戦ってきた。

実際にかなり前進しているが、戦いの終わりははるか先だ。女子選手は男子選手と「平等に」扱われるべきだと言いたいところだが、現実は違う。このことは、スポンサー契約で成り立つスポーツビジネスに直接、影響を与えている。

今年のW杯でMVPに輝いたアメリカ女子代表のエース、カーリ・ロイドが、昨年のW杯でMVPに選ばれたアルゼンチン男子代表のリオネル・メッシと同じ報酬を手にできないことは、倫理的には怒りを覚える。しかし現在の経済環境を考えれば、極めて公平なのだろう。

観客もスポンサーも少なすぎる

2013年にアメリカで「ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ(NWSL)」が始動したとき、2000~04年にアメリカ女子代表チームのキャプテンを務めたジュリー・ファウディはESPNで次のように書いている(編集部注:アメリカの国内リーグは過去にWUSA〈2001~03年〉とWPS〈2009~11年〉が、主に予算難から短期間で廃止されている)。

「プロスポーツは、男性にとっても女性にとっても、誰がプロとしてプレーする資格があるか、誰がプロにふさわしいかという話ではない。スポーツのプロリーグは、ひとつの単純な原則で動いている──市場がいくら払うかだ」

世界トップレベルの選手を数多く擁するアメリカの女子サッカー市場は、選手1人の年俸が6000~3万ドルを妥当と考えているようだ。

市場の規模がこれほど小さい理由のひとつは、アメリカのプロサッカー市場全体が小さいからだ。男子選手の最低年俸は3万6500ドルで、プロリーグのMLS(メジャーリーグサッカー)でプレーする選手の約4分の1は5万ドルに届かない(トップ選手は数百万ドルの年俸を手にしているが)。

もうひとつの理由は、生で観戦する人がほとんどいないことだ。その点と関連するだろうが、スポンサー契約もごく限られている。言い換えれば、もっと多くの観客が女子の試合に足を運べば、状況は変わるかもしれない。

観客とスポンサーが少ないことは、女子サッカーをフィールドの外でも盛り上げようとする努力にとって、卵が先か鶏が先かという状況を生んでいる。

「数年間継続して応援してくれる気前のいい出資者がいないため、女子のプロチームとリーグは発足した瞬間から、生き延びるために奔走してきた」と、ボストン・グローブ紙のスポーツライター、シーラ・スプリンガーは書いている。

プロリーグ発足と同時に存続の危機

これこそ本気で怒るべき問題だ。女性のプロスポーツを発展させようという試みは、最初から支援体制が不十分で、失敗が目に見えている場合があまりに多い。スポンダーは見返りがないと1年か2年で撤退し、チームもリーグも最初から存続の危機に直面するのだ。

女子の自転車競技も似たような状況だ(公平を期すと、男子でもスポンサーが毎年変わることは珍しくない世界ではある)。オリンピック選手を10人擁する世界トップレベルの女子チームが、2015年も活動を続けるためにクラウドファンディングで協力を募り、目標金額の70万ドルに対して約10万ドルを集めた(私も寄付をした)。

それでも、今年のサッカーの女子W杯は希望を与えてくれる。決勝戦のアメリカ国内の視聴者数(英語放送)は、昨年の男子ブラジル大会の約1.5倍だったのだ。

ジャーナリストのフェリックス・サーモンのツイッターによると、W杯の決勝戦の視聴者数は、昨年の男子ブラジル大会が1730万人(英語放送)/920万人(スペイン語放送)、今年の女子カナダ大会は2540万人(英語放送)/130万人(スペイン語放送)だった。

女子サッカーの市場が存在することは確かなようだ。その機会をうまく利用しようとする人がいれば、ビジネスとして成立するだろう。ただし、4年後のW杯までにNWSLの展開に結びつけることができるかどうかは、確かではない。

あなたにもできることが、ひとつある。女子大会の賞金の額について、SNSに不満をぶつけることではない。女子サッカーの収入格差を正したいと思うなら、チケットやユニフォームを買ってスタジアムに行こう。

(執筆:SHANE FERRO、翻訳:矢羽野薫、写真:© isitsharp/iStock.com)

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