米ボーイングの最大労組、16年ぶりにスト実施-労働協約案を拒否
AI要約
- 1米ボーイングの労働組合は、提案された労働協約案を否決し、16年ぶりのストライキを決行した
- 2シアトル郊外の工場では、生産が停止し、約3万3000人の従業員がストライキに参加している
- 3ストライキの影響でボーイング株は一時3.9%下落し、年初からは38%の下落を記録している
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注目のコメント
今回の労使交渉はワシントン州の労組と2014年に結ばれた労使協定の改訂ですが、2014年の協定は当時のマックナーニCEO(GE出身でウェルチ後継の座をイメルトと競った一人)が新型機はワシントン州ではなく余所で作ると散々脅し企業年金の切り下げ等を含む屈辱的な譲歩を労組側が強いられたものです。
他方で当時のボーイングは潤沢なキャッシュフローを自社株買いや配当といった株主還元に対やし株価は連年右肩上がりが続いていました。
737MAX墜落とCOVIDまでは。
現在ボーイングは企業年金の変更に伴う熟練エンジニアの離職も遠因となった品質問題を抱え、余所で作っている787も品質問題のためワシントン州に持ち込んで再検査をしてから出荷している状態。それらに足を引っ張られ新型機である777Xは未だ形式認証が取れません。
そして品質問題を何とかして生産数を回復しない限り、深刻なキャッシュフロー不足は解決されません。
要するに2014年の交渉時からは様々な側面で巻き戻しが起こっています。今回の交渉では2014年とは一変して労働者側が主導権を握っています。新型機797はワシントン州で生産することを会社側が提示したのもオートバーグ新CEOが会社の姿勢の変化を労働者側に示す意味合いもあります。ストは労働者の正当な権利ですが、実際にストを決行できる労働者は比較的恵まれた環境で、本当に悲惨な環境での勤務を強いられている人はそれすらできなかったりします。日本のブラック企業もですし、劣悪待遇で有名な米ウォルマートも労組結成の動きを見せた社員は即刻解雇だそうです。