三菱ケミカル、田辺三菱製薬の売却報道を否定 「あらゆる選択肢念頭」
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非公式な内容のため、このような報道が出ると企業は株式市場に対して「決定事項ではない」と否定します。しかし、確定する直前までこのような公式見解を出すのであって、絶対に行わないという類の否定ではありません。
日本の製薬企業を取り巻く外部環境をみると、日本市場は以下の特徴を持ちます。
(1)日本の薬価制度の仕組みにより企業が決定できず政府が決定、長期に売り続けるほどに概ね下がり続ける構造
(2)それでも政府は、医薬品の安定供給をさせるために、品目からの撤退を許さず、許されるのは製品ごとの他社への移管か企業ごとの他社への移管のみ。倒産しそうな場合は、日本製薬工業会を通じて傘下のどこかの企業に製造を引き継がせるように要請する(医薬品の許認可権は政府が有するため、これを断りにくい構造)
(3)日本では臨床試験に参加する方が集めにくく、他国と比べ従事する人も少ないため、試験ができないことが問題化。そこで近年、海外の臨床試験のみで事実上日本での医薬品の認可が取れるように制度改正済
したがって、長期販売品の多さから不採算事業を多く抱え、海外で認可を受けて日本に導入できる新しい医薬品を有する見込みが低い企業は大変困難な状況を抱えているはずです。そこで、政府からの要請に「努力する」と答えながら「最低限の義務にとどめ赤字を少なくしたい」といった面従腹背の状況になっているとみられます(業界関係者は否定するでしょうが・・・)。これが、現在の医薬品不足の主要な要因の一つだと考えています。(他にも主要な要因はあります)
大きな影響を受けているのは、長期に販売されている医薬品の売上高比率が高い企業、海外での臨床試験ができない企業です。そのような企業を売却できるチャンスがあるのなら、企業戦略としてその選択が見えてきます。
特に企業グループ傘下の事業子会社の場合、親会社の企業戦略は資本の効率化ですから、先の状況に子会社が該当する場合には売却への合理性があります。このような企業を買いたい企業は、日本での基盤が弱い新興企業、新興国企業などで、その営業チャネルが欲しいところにとっては、不採算品目があっても買収したいと思うでしょう。
化学品の企業グループは、1970~80年代に医薬品産業の将来性を見出し、企業買収などで製薬企業を子会社化してきた経緯があります。逆転が起こったとしても違和感は感じません。定期的に新薬を生み出せない、あるいは発売できない企業は、洋の東西、財閥を問わず淘汰される。お金の使い方がワイズかいなか。同社が医薬品事業を丸抱えする決定をした際、他のケミカル事業と比べてR&Dのリスクとリターンの関係についてどの程度議論がつくされたのか・・・
同社にとって本丸は石化上流の日の丸連合造り。時間をかけるメリットはない。要は、三菱ケミカルは既に有利子負債が大きいので、「これ以上、借金するのは無理」ということでしょう。
https://toyokeizai.net/articles/-/651952?page=2
ボヤボヤしてると、外資に変われてしまいますよ。日本は国外からの投資が少ないので悪い事ではないですが、内資が買収に手をあげて、それで成功してくれればさらによいです。