自民党が反対続ける「選択的夫婦別姓」 30年間議論が進まない背景にある“事情”とは?【報道特集】
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平成27年12月16日に最高裁は選択的夫婦別姓の制度がないことについて合憲判断を下しました。この判例のポイントは次の3つです。
・苗字は本来自分の意思によって自由に定めたり改めたりする性質ではないことなどから、「現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。」と判示されました。
・法律上は夫婦のどちらの苗字を名乗るのかを協議にゆだねていることなどから、差別的取り扱いにもあたらないと判示されました。
・通称使用も可能であることなどに照らすと、夫婦が別の氏を称することを認めないものであるとしても,上記のような状況の下で直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとは認めることはできないと判示されました。
ただし、この判例は夫婦別姓自体に合理性がないとするものではなく、「この種の制度の在り方は,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。」と判示されています。
また、岡部喜代子裁判官などは「本件規定は,昭和22年の民法改正後,社会の変化とともにその合理性は徐々に揺らぎ,少なくとも現時点においては,夫婦が別の氏を称することを認めないものである点において,個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っており,憲法24条に違反するものといわざるを得ない。 」という意見も述べています。
その後、2024年にも新たに夫婦別姓に関する違憲訴訟が提起されています。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000131別姓を選べる選択肢を追加するだけにもかかわらず、政権与党の論議は遅々として進まないまま、30年間が失われてきました。問題が争点化した今次の自民党総裁選で、議論を尽くし、早々に結論を打ち出すべきでしょう。小泉氏が指摘するように、採決時に党議拘束を外すのは一計だと考えます
選択的夫婦別姓を導入しないことによる経済損失を無視できなくなってきたため、経団連も2024年6月18日付で選択的夫婦別姓導入を目指す一連の資料を公表しています。
さまざまなシンクタンクが選択的夫婦別姓制度を導入することよる経済への影響について仮説を立てていますが、選択的夫婦別姓制度を導入しないことで以下のような経済損失が発生し続けているとされています。
・労働市場の不活性化
・起業における内部コストの増加(姓名変更、通称使用による企業内データーベース維持コスト等)
・行政コストの悪化(夫婦別姓を導入した方が行政コストは安くなる)
・起業者の減少
・国際ビジネスを担当するビジネスマンの生産性悪化
・研究者業績の切断による日本人研究者の研究への注目度の低下
・国際競争力自体の悪化
因果関係の濃淡はありますが、少なくとも経済界は、強制的夫婦同姓制度に対し、経済成長の足を引っ張る原因だと見做しているようです。
また、人口動態にも影響があるとされ、選択的夫婦別姓制度の導入により少子化の改善に直接影響し得ることも多数の研究が示唆しています。