第2回:女性ユーザーが“反応”する年収
女性は男性に、まだ「三高」を求めているのか?〈収入編〉
2015/7/7
恋愛×ビッグデータ──。ビッグデータがビジネスにおける消費者の行動を解明するのに活用されるのと同様に、恋愛もデータによって語られる時代がやってきた? 会員数230万人を誇る日本最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「pairs」を運営するエウレカCEOの赤坂優氏が、pairsに蓄積された恋愛ビッグデータを用いて、データ時代の恋愛を読み解く。
第1回:「早慶上智卒」は、大卒平均より3倍モテる
それでは、女性が実際にどれくらいの年収の男性にアプローチしているのか、年代別に見てみましょう。
pairsにおける「いいね!」とは?
プロフィール(自己紹介文、メイン写真など)を見て、好意を持ったパートナーに「いいね!」を送る。お互いに「いいね!」を押すと、マッチングが成立し、メッセージ交換が可能になる。
pairsにおける「検索機能」とは?
パートナーを探す際に、年齢、居住地、身長、年収、学歴、職業などの条件を細かく設定して検索することができる。
30代女性の約4割が年収を条件にしている
「高学歴、高年収、高身長」人気は健在なのか──。第1回の「学歴と恋愛の分析」に続き、今回は恋愛(婚活)市場における年収の役割について考えていきます。
30代女性がパートナーを探す際、検索条件に年収の下限を設定しているユーザーは、「全体の38%」であることがわかりました。「検索条件に年収の下限を設定する」とは、言ってしまえば、「年収を男性選びの必須条件にしている」ということです。
年収を設定する女性の割合は、20代女性で25%、40代女性で41%というように、年代が上がるとともに増加していきます。
30代女性が検索時に設定した年収の上位3つは、次の通りで「400万円以上」が10.2%、「600万円以上」が5.7%、「800万円以上」が2.7%となっています。
全体で見ると、年収を検索条件に設定する女性ユーザーは過半数にも至らず、また設定した年収も極端な高収入ではなく、最低限のハードルの設定といった印象を受けます。特に、20代女性ユーザーは年収をパートナー選びの必須条件にしているわけではなく、ほかのプロフィールと併せて判断基準のひとつとして捉えているようです。
では、具体的にどのような額の年収が、女性の行動に影響を及ぼすのでしょうか?
キーワードは1000万と600万
男性の場合、基本的に年収が高いほど、「いいね!」される回数が増加しますが、その差分に注目すると、「年収400万円以上600万円未満」から「年収600万円以上800万円未満」が最も増加の幅が大きく(プラス23.50)、その次に「年収800万円以上1000万円未満」から「年収1000万円以上1500万円未満」が大きい(プラス20.04)ことが判明しました。
年収が可視化された場合、女性ユーザーが反応する境界線となった年収は、「600万」「1000万」だということです。
これは私見ですが、女性がこの2つの数字に反応する理由は、経済的な観点で、2種類の幸せが考えられることに起因するのではないでしょうか。それは、「人並みか、もしくは少し上の生活ができればいい」という意識と、「明確に人とは違う上位層だと感じる生活がしたい」という意識です。
前者は男性の平均年収より少し高い、600万円の年収を持つ配偶者と結婚して得られる生活で、後者は「1000万円プレーヤー」とも言われる、1000万円の年収を持つ配偶者と結婚して得られる生活です。これが女性ユーザーの行動を変えるポイント、「600万」「1000万」になったのではないでしょうか。
ちなみに、「1000万円以上1500万円未満」と「1500万円以上2000万円未満」のユーザーの「いいね!」数の差分は、非常に小さく(プラス0.31)で、年収の増加分とはまったく釣り合わない結果となりました。
(協力:中川佳希、構成:村井京香、インフォグラフィック:荒新桃子)
*明日掲載の「女性は男性に、まだ「三高」を求めているのか?〈身長編〉」に続きます。
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