「日本の課長」が消えていく? 本当にそれでいいのか

2015/7/5
管理職の半数を格下げしたソニー、部課長制復活のパナ
課長から数段階格下の平社員への降格、それに伴う給与ダウン──。2015年2月、ソニーでは青ざめる者が続出した。ソニーが新しく導入した「ジョブグレード制度」は、年功要素をゼロにし、基本「現在果たしている役割」に基づいて社員を格付け、給与もリンクさせる。
この「役割給」の導入は、パナソニックでもすでに始まっている。従来は、社内資格が変わらない限り異動しても給与は変わらなかったが、今後は変動する。現在のポストに安住する社員は許さない方針だ。
会社員なら一度は、「自分もいつかは」と思い浮かべる「課長(マネージャー)」というポスト。ビジネスの最前線に立ち、利益を上げ、部下を育てる──。日本経済の「要」ともいえるポジションだが、上記のように「課長改革」を進める会社は増えている。ニッポン株式会社の「要」は消えていくのか。そして、それはいいことなのか。
NewsPicksと朝日新聞出版の週刊誌「AERA」は、このような問題意識のもと、「日本から課長が消える?」特集を共同企画する。
NewsPicks読者の大半が「課長なんていらない」
両者コラボの発端となったのは、NewsPicksが2015年4月8日に配信したあるオリジナル記事だ。タイトルは「『8割は課長にさえなれない時代』到来か」だ。
記事では、大企業での人事改革を紹介、「働かないオジサン」「部下なし課長・部長」が淘汰され、8割が課長になれない時代が来ると論じた。
この記事には、第一線で活躍する経営者や研究者が大きな関心を寄せたが、同様に、ピッカーも多くのコメントを寄せた。賛否両論が巻き起こると思われたが、「管理職が多すぎる」「これまでが異常だっただけで、この流れは当然」「肩書は必要ないし、そもそも課長になりたくない」「現在の給与体系のほうがおかしい」と、賛成の声がほとんどを占めた。
パナ、ソニーの人事部長を直撃
実際、ソニーの人事統括部長によると、同社では管理職の半数がポストから引き剥がされるというのに、若手を中心に「まだ甘過ぎる」「本当にできるのか」といった声が多く出たと言う(本特集第3回を参照)。
こうした課長受難の時代、現役課長は現在の自身の境遇をどう捉えているのか? AERAとNewsPicksは、求人検索サービス「スタンバイ」を展開するビズリーチの協力を得て、課長経験者1649人を含む男女2411人にアンケートを実施した(第6回を参照)。
9割が課長になってよかった
その結果、「課長を経験してよかった?」の問いに課長経験者の約9割が「よかった」と答えた。上から急かされ、下から文句を言われ板挟みがツラいと文句を言いながらも、まんざらでもないようだ。
また、AERAとNewsPicksは各業界で活躍中の現役課長の座談会を開催し、彼らの本音に迫った。バブル入社組の「上」が詰まっていてポストが空かない、課長になってかえって給料が下がった、新世代部下のメンタルが難敵だ……など課長を取り巻く環境は、想像以上にシビアだ(第12回参照)。
さらに本特集では、役割給導入後の課長の給与はどのように決まるのか。「課長の値段」のつくられ方についても詳述する(第7回第8回参照)。
特集後半では、管理職ポストが限られる中、「課長後」はどうすればいいか。固定概念を捨て、新しい働き方を模索する人を紹介(第13回参照)。
ほかにも、『課長島耕作』著者弘兼憲史氏、雇用ジャーナリスト海老原嗣生氏らが語る「課長論」。課長を鍛え直す“課長ブートキャンプ”研修など、ミドルマネジメントの専門家や事象の取材を通して、「日本の課長の今」と「未来予想図」について迫る。