FIFA問題、日本は無縁なのか?

2015/7/5
サッカー界には「黒いフィクサー」がいる……。ということは、関係者の間では限りなく真実に近い“噂”だった。
FIFAのゼップ・ブラッター会長が国を訪れると、慰労金としてホテルの机の上に札束が積み上げられている──(噂)。
W杯の放映権を扱うインフロントの社長はブラッターの甥だ──(真実)。
FIFAの選挙の際、札束を受け取った人間は“人質”として写メを送らなければならない──(噂)。
ただし、不正行為を暴くのは簡単ではない。部分的に内幕が明らかになることはあっても、点と点が線につながることはなく、権力者たちの“小遣い稼ぎ”は公然の秘密として受け止められてきた。
FIFAマフィア vs FBIの4年戦争
しかし、2015年5月27日、革命が起きた。
アメリカ司法省が計14人(現・元FIFA幹部9人、スポーツマーケティング関係者4人、放映権関係者1人)を起訴。要請を受けたスイス司法当局が、FIFA幹部が泊まるホテルに踏み込んだ。FIFA会長選挙が行われる2日前の出来事である。
FBIの捜査によって浮き彫りになったのは、とてつもない額の贈収賄だ。
アメリカ司法省の発表によれば、24年間にわたって1億5000万ドル(約180億円)を超える贈賄が行われていた。逮捕された幹部9人で割れば、1人当たり計20億円。毎年、8000万円が振り込まれるイメージだ。もはや小遣い稼ぎのレベルではない。
FIFAマフィア──。一部のサッカーファンが冗談交じりに使っていたフレーズは的外れではなかった。世界各国のメディアがトップニュースで取り上げ、FIFAの信用度は地に落ちた。
4つの謎に迫る
だが、過熱する報道を見れば見るほど、疑問が涌き上がってきた。
なぜアメリカが動いたのか?
なぜ暴走を止められなかったのか?
日本は無縁なのか?
はたして本当にFIFAは悪なのか?
真実を知りたい衝動を抑えられなくなり、次々に関係者にアポイントを取って、一つひとつ疑問を潰していった。
中東にパイプのあるクラブ経営者、法律の専門家、元電通マン、元FIFA職員、そして『FACTA』誌において2008年から日本とFIFA汚職事件の関係を追求し続けるスイス人記者──。
無料公開にすべきとも考えたが、やや可燃性を帯びたテーマであるため、無用な誤解を引き起こしたくないため、有料コンテンツとした。
Vol.1は「1分でわかるFIFA汚職事件」
ビジネスメディアという特性を考え、Vol.1では「1分でわかるFIFA汚職事件のカラクリ」と題して、今回の取材で見えた“構造”を相関図と年表に凝縮した。Vol.1さえ読めば、90%のことは理解できるようにした。ほとんどのビジネスパーソンは、Vol.1を読んでおけば十分と思われる。そこからさらに階層を下りる作業をVol.2から始める。
連載を始めるにあたって今感じているのは、時代を築いた人たちへの感謝、サッカーを世界一のスポーツコンテンツに築き上げた先駆者たちへのリスペクトである。