総理大臣になりたいですか?給料低くて責任重くてリスク高すぎ問題
いきなりですが、質問です。
「総理大臣になりたいと思いますか?」
さて、気になるニュースが入ってきました。岸田総理が、2024年9月の自民党総裁選に立候補しない、とのことです。昨年秋から、内閣支持率は、20%台と低迷していました。
そこで気になるのは、「次の総理大臣は誰か?」ということです。
総理大臣はまさに国の顔とも言える存在、教科書に名前が載ったり、全国民がその名を知ることになったりと、絶大な影響力を手に入れることはできるでしょう。
しかし、思っている以上にメリットがないかもしれない…。いや、むしろデメリットしかないかもしれないという話です。
まず、給料の話から見ていきます。
1.給料安すぎ問題
総理大臣の年収って知っていますか?
なんとたったの4000万円です。(正確には4032万円)(参考URL:主な特別職の職員の給料)
「4000万円も、もらってるの?」という印象を持ったでしょうか?
ということで、企業のトップと比べてみましょう。
例えば、
・ソニーグループCEO: 約21億円
・トヨタ自動車CEO: 約16億円(2023年度)
・Zホールティングス社長:約12億円
あくまで一例です。さらに、2億円以上の報酬をもらっている役員は297名ほどいます。(参考URL:「年収1億円超」の上場企業役員ランキングTOP500)
国を背負うようなトップの人は、きっと優秀な人でしょう。思考力があり、カリスマ性があり、素晴らしい人間性も持っている(かもしれない)ということです。しかし、優秀な人なら、総理大臣になるよりは、大企業の役員になった方が実は給料を多く得られるわけです。
ちなみにソニーグループのCEOと比べれば、50倍です。ソニーグループのCEOになればわずか1年で回収できるお金を50年かけないと得られないという絶望的な金額の少なさ。
ちなみに、先日、東京都知事選も話題となりましたが、都知事の年収はご存知ですか?その年収は約2600万円。しかも、小池都知事にいたっては、就任当初から年収を半分カットしています。なんとその額、1300万。1300万なんて、その辺にいる人よりも給料よりも少ないかも…。(参考URL:都議所得、平均1336万円 小池知事は1283万円 上位10人は自民・都民ファ5人ずつ 2023年分公開-東京新聞)
比べましょう。人気企業「キーエンス」の平均年収は1803万円です。既に都知事よりも500万円も多いですが、しかもこれ、平均年収です。それよりも都知事よりも給料が少ない人の方が少ないわけです(笑) (参考URL:「平均年収が高い会社」ランキング全国トップ500-東洋経済オンライン)
まともな人なら、都知事よりも圧倒的にキーエンスを選びそうです。
政治家とカネの問題はあるけれど、そもそも給料が低すぎますね…。
ちなみに他の都道府県知事も、1000万円〜2000万円くらい。キーエンスの方が下手すると高いです。
2.責任重すぎ問題
総理大臣の仕事って、基本、24時間365日休みなしですよね。特に最近は災害や感染症の対応もあり、夜中に連絡がきて、その対応もしないといけないし、超大変です。
「国のトップなんだから、当たり前!」と思うかもしれませんが、一般企業なら、すぐに労働基準法違反です(笑)
しかも、休みの日まで時にメディアに追いかけられ、ゴルフを楽しみながらリラックスした休日を過ごしたいのに、「国民は苦しんでいるのに遊んでいる!」と、叩かれることもあるわけです。
しかも一つ一つの発言や行動が責任重大です。SNSの発達で、批判の矛先がすぐトップへと向かいます。コロナの対応も、円安も、ウクライナ情勢への対応もすべて総理大臣の責任になりかねません。Xなどで、ものすごい勢いでたたかれるわけです。しかも、それだけ叩かれるのに、給料は大して高くないという…。
3.リスク高すぎ問題
リーダーを狙った事件。これが一番やばいと思います。
2022年7月、安倍晋三元首相銃撃事件。街頭演説中に起きた悲劇、忘れた方はいないでしょう。
そのわずか2年後、2024年7月にはアメリカのトランプ前大統領も狙われました。同じく演説中への銃撃でした。
実は、日本の総理大臣は64名中7名が在任中または、退任後、殺害されています。初代総理大臣、伊藤博文氏、原敬氏(第19代)、高橋是清氏(第20代)、濱口雄幸氏(第27代)、犬養毅氏(第29代)、齋藤實氏(第30代)、安倍晋三氏、…、その死亡率は、10%を超えます。(ただ、安倍氏以外は戦前に発生しています。)
世界で最も高い山、エベレストの登山時の死亡率は6%と言われていますから、それよりも圧倒的に死亡リスクが高いわけです。
ちなみにアメリカの大統領も44名中4名が殺害されており、同じく殺害率10%と非常に高い死亡率となっています。
総理大臣になりたいですか?
さて、どうでしょう。
・給料はそれほど高くない
・責任は重大でネットでたたかれる
・リスクも非常に高い
ということで、改めて聞きます。
それでも、総理大臣になりたいですか?
冷静に考えてみれば、総理大臣は辞めておいたほうがよさそうです。給料は安いのに責任は重い。しかも命の危険まである。こんな状況では、優秀な人材が政治家を目指さなくなるのも無理ありませんね。
では、どうしたらよいでしょうか?
ということで、みなさんのコメントをお待ちしています!(投げやり)
(見出し画像:Scholz Receives Japanese Prime Minister Kishida-GettyImages提供)
コメント
注目のコメント
アメリカ大統領の給料は40万ドル。
為替換算(1$=150円)だと6000万円ですが、購買力平価(1$=90円)で計算すると3600万円ですから日本の総理大臣(4000万円)より安い。そして責任の重さは日本の総理大臣どころではありません。
ただし、やりたい人にとってはお金を払ってでもやりたい。
それが権力者というものでしょう。コスパ、タイバの観点から見れば、斯様な地平が広がるのでしょう。政治記者として、幾人もの内閣総理大臣をウォッチしてきた身から言えば、その観点との交錯点を見出すのは、なかなか困難な作業となりそうです。
多くの政治家/官僚の皆さんは、きっと国家をより良くしたいという使命感はあるでしょう。しかしそれはスタートアップを批判するのによく使われる「やりがい搾取」ってやつなんじゃないですかね。
日銀は三菱UFJ銀行よりは高い給与を出すそうで、それが正しいように思います。