(ブルームバーグ): 岸田文雄首相が9月の自民党総裁選に出馬しない意向を14日表明したことを受け、日本では新しいリーダーを迎えることになる。以下に有力と見られる後任候補を挙げた。
石破茂元防衛相
防衛相を務めた石破氏は、これまでに出馬した総裁選ではいずれも敗れたものの、有権者が望む次期首相の政治家リスト上位に常に名を連ねている。ここ数週間に石破氏は日本銀行の金融政策正常化に支持を表明した。自身のウェブサイトでは、対外貿易に頼るのではなく、内需を喚起して成長を促すなどの政策を提唱している。
河野太郎デジタル相
国民や自民党員から人気のある直言居士の政治家だが、前回の総裁選では議員票が伸びず、岸田氏に敗れた。ただ、河野氏がアウトサイダーと見られているという事実が、政治資金問題で傷ついた党のイメージ刷新という点で河野氏への支持を後押しする可能性がある。現在、デジタル相や行政改革担当相を務める河野氏は、外相や防衛相を歴任しており、閣僚経験も豊富だ。
河野氏は近年、原子力発電所再稼働への反対姿勢を軟化させている。中国の台頭に懸念を示し、日本はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国の5カ国で構成する機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」に参加すべきだと主張している。先月出演したプルームバーグテレビジョンでは、円安是正のために政策金利を引き上げるよう日銀に求めた。
上川陽子外相
現在、外相を務める上川氏は米ハーバード大卒で、政界入りする前はコンサルティング会社を経営していた。もし総裁選に勝てば、日本初の女性首相となる。上川氏は女性活躍に尽力していることで知られるが、自民党議員のうち女性の割合が約12%でしかないことを考えると、苦しい戦いだ。
法相在任中にはオウム真理教の教団員6人を含む16人の死刑執行に署名したことで、活動家らから非難を浴びている。上川氏は流ちょうに英語を話す。
茂木敏充幹事長
茂木氏は最近、日銀は金融政策を正常化させる方向性を明確にすべきだとの考えを示した。現在、党のかじ取り役を担う幹事長で、外相などの閣僚も務めている。米ハーバード大出身で、党内では「タフガイ」のイメージもある。政治アナリストらは、11月の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、茂木氏は故安倍晋三元首相がトランプ氏と築いた個人的関係を再現できる可能性があるとみている。
小泉進次郎元環境相
小泉純一郎元首相の次男。福島第一原発の処理水海洋放出後の昨年9月、安全性への懸念を和らげるため福島沖でサーフィンをして注目を集めた。再生可能エネルギーを推進し、石炭火力発電に対する政府の支援を批判していた。
著名テレビキャスターと結婚した同氏は、現役閣僚として初めて育児休暇を取得したことでも話題になった。環境相を務めていた19年、記者会見で気候変動問題への取り組みは「セクシー」であるべきだと発言し、日本では多くの人から失言とみなされた。同氏は昨年11月に超党派の勉強会を立ち上げ、タクシー運転手不足の解消に向けライドシェアアプリの導入を提言した。
高市早苗経済安全保障担当相
保守派として知られる高市氏は、故サッチャー元英首相を目標とする。学生時代にはヘビーメタルバンドでドラムを担当していた。現在、経済安全保障担当相を務めている同氏は昨年11月に研究会を自ら立ち上げたが、総裁選への布石とみられて批判を集めた。靖国神社への参拝を続けている高市氏が総裁に選ばれた場合、韓国との最近の関係改善が危ぶまれ、中国との関係を一段と悪化させる可能性がある。
高市氏は原発のさらなる活用を主張する一方、太陽光パネルによる環境破壊に懸念を示した。故安倍元首相を敬愛し、21年に出馬した総裁選では同氏の大規模金融緩和政策への支持を表明した。
加藤勝信元厚労相
元厚生労働相で官房長官の経験も持つ加藤氏は、ダークホース的な候補として浮上する可能性のある人物だ。衆院議員を7期務めた加藤氏は旧大蔵省(現財務省)出身。主要7カ国(G7)の中でも新型コロナ感染症の被害を低水準に抑えることに貢献した。 与党内で突出して目立つ存在ではないが、過去3人の首相の下で重要な役割を果たした経験が有利に働く可能性がある。
原題:Top Contenders for Japan Leadership After Kishida Announces Exit(抜粋)
(加藤元厚労相の詳細を加えて更新します)
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